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アンドロイド転生602

白水村の集落:ダイニングルーム

ホームの全員の夕食が始まった。キリの右隣には夫のタカオが座っている。数年前までは左にはルイがいたが、少年達の輪に入ってしまった。思春期とはそういうものだと納得している。

キリは首を伸ばして息子を探す。カナタの隣の席が空いている。ルイはどこだ?一向にやって来ない。まさか夕飯を拒否したのか?ホームを抜け出した罰のトイレ掃除1週間が不服だったのか?

暫く様子を見ていたがやはり席が埋まらない。キリは呆れて溜息をついた。ルイめ!やっぱり反抗しているのだろう。食べたくないならそれで良い。勝手にしろ。全く年頃とは厄介だ。

そしてふと気付く。アオイとサツキの姿もない事に。キリは首を傾げた。ナニーとしての職務に生き甲斐を見出している2人が子供の世話をしないなんて考えられない。

一体どこにいるのだろう?子供の具合でも悪いのか?キリは周囲を見渡し、欠けた子供がいない事を確認した。ちゃんといる。では2人はどこだ?全く…皆其々自由にやっているものだ。

リョウがキリの側にやって来た。
「あ、あのさ。アオイ達に協力してもらってる」
キリは眉根を寄せた。
「協力?」

リョウは拳を握って胸を叩いた。
「ほら…俺…今さ?アンドロイドの心臓アクチュエーターについて研究してるだろ?」
「うん」

リョウは早口になった。
「エネルギー量の変換具合を確認したいんだよ。ラボの…製造元が違うと差異があるんだな。それを言ったらアオイ達が協力するって」

キリはリョウをじっと見つめた。
「あ、そう…。協力するって…?へぇ?」
リョウは慌てたようにムキになった。
「キリはイイからな!俺の研究だからな!」

キリは何度も頷いた。
「はい。はい。分かりました。頑張って」
リョウは気付かれないように息を吐いた。
「ま。じゃあ…そういう事だ」

エリカは離れた場所で、聴覚を最大限にしてリョウとキリの会話を聞いていた。ほくそ笑む。リョウ。やったじゃない。ほらね?嘘も方便ってやつよ?やればなんでも出来るの。

よし。アオイ達の問題は片がついた。これでモネが村にやって来てもアオイはモネとは会えない。ザマアミロ。次はアリスだ。素直なアリスの事だ。手中に納めるのは容易い。

アリスはタカミザワモネがアオイが育てた子供だと知っている。以前、モネとアオイを会わそうと言い出した。それを止めたのだ。アオイに感動の出会いなどさせたくなかった。

エリカは隣に座るタケルを見つめた。タケル。私はね。あなたが大好き。ううん。愛してる。だから邪魔者は徹底的に排除する。いつかアオイを潰す。絶対よ。ね?絶対。

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