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アンドロイド転生359

茨城県白水村:リビング

村長でケンジの兄でもあるサトシは、アオイの策に反対する弟を制した。
「プランが色々とあるのは良い事だ」
アオイは嬉しかった。村長が応援してくれる!

ああ。私の考えは間違っていなかった…!タケルに殺人を犯させない。ヤクザと取引をするのだ。飴と鞭。利益と脅迫。それがきっと最終的にはホームを守る事になる。

アオイに力が漲った。
「キリ、私は出発する!チアキ、行こう!」
チアキは笑った。
「着替えないと。その格好じゃ無理だよ」

アオイは自分の服を見た。パーカーにミニスカート。これでは行けない。
「あ、そうね」
自室には夜の狩用の上下一式があるのだ。

歩き出したアオイの腕をキリが掴んだ。
「待って。本当に上手くいくの?」
アオイは頷いた。
「上手くいかせてみせる!」

キリはアオイの様子に驚いていた。昨晩の頼りなく涙を流したアオイとは違う。力が漲っていた。やっぱりタケルに罪を犯して欲しくないのだなと思う。同じ境遇の2人。人間の心を持つ2人。

キリは微笑んでガッツポーズをした。
「分かった。信じるよ」
アオイも笑って何度も頷いた。
「うん…!うん!」

10分後。アオイとチアキが完全防備の服に着替えて、ホームから麓に向けて出発しようとしていた。ホームの所有車が2台あったがタケルとルークが其々乗って行った。バイクで行くつもりだ。

人々が見送った。半数はアオイの作戦に賛同していたが、半数は納得してはいなかった。キリはアオイを応援したが、叔父のケンジは不服な様子で腕を組み仏頂面をしていた。

村長のドウガミサトシはアオイの肩を叩いて頷いた。優しい微笑みだった。
「あんたの手腕の見せ所だ。朗報を待っているぞ。無事に帰って来い」

村長が自分に期待していてくれる!アオイは嬉しくて堪らなかった。何があっても成功させよう。
「有難う御座います。行ってきます」
2人は山道を降って行った。

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