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アンドロイド転生1005

2119年12月16日
イギリスロンドン カフェ

「上手くいってるみたいだね?」
友人Aは微笑んだ。
「最後までいったの?」
友人Bは好奇の瞳でミアを見つめる。

ミアはニッコリとした。
「うん。先週」
女性同士というものはどこの国でも、いつの時代でも、夜の話は赤裸々に語るものだ。

友人達は身を乗り出した。
「どうだった?良かった?」
ミアは頬を染めて恥ずかしげに頷いた。リョウは初めてだったけど万事問題なく済んだ。

付き合い始めて1年経って、漸く結ばれたのだ。ちっともアクションを起こさない彼に痺れを切らしてミアの方から誘った。リョウは目を白黒させて驚いたものだが2人の時間は愛に包まれた。

ミアは満足だった。これで私達の絆は更に深まったのだと思った。母親のグレースは何となく察しているようでリョウに対して、まるで息子のように接している。それが嬉しかった。

友人Aは腕を組んで眉根を寄せる。
「でもさぁ?彼はさぁ?いつか日本に帰っちゃうんでしょ?どうするの?遠恋するの?」
ミアも難しそうな顔をする。

友人Bは笑った。
「結婚しちゃえば!」
ミアはえっ!と驚く。
「け、結婚…?」

友人達は顔を見合わせてそうだと頷く。
「パッと結婚してさ?嫌なら別れてさ?いいじゃん。それで」
ミアは遠い目をした。結婚か…。

そしたら自分はどこで暮らすのだろう?イギリスから離れるのか?それは問題ない。彼の行くところならどこでも付いていく。ミアはリョウと一緒に暮らすことを想像して嬉しくなった。

リョウには日本の茨城県というホームタウンと、国民登録をした東京の住まいもあるそうだ。どこで暮らそうとも私達は良いパートナーになれるだろう。そんな自信があった。

友人Aは小首を傾げた。
「リョウの仕事はどう?経済力は重要だよ」
ミアはもっともだと言うように頷いた。
「そうだね。日本なら楽勝みたいだけど…」

そうなのだ。日本は潤沢だ。アンドロイドの開発能力が高く他国を凌駕する。GDPは首位独占。そのお陰で福祉制度も整っており住居費、光熱費、学費、医療費も免除されている。

日本人の友人ABは頷いた。
「そうなの。日本なら大して稼がなくても暮らしていける。あっちの方が断然、生きやすいね。だから…リョウは帰りたいって言うかもね」

ミアは頷いた。しかも日本は他国に類を見ないほど平和で安全だ。事件事故も滅多に起こらない。そうなると…やはり彼は日本の方が良いと言うかもしれない。私はどこでもOKだけど。

ミアは宙を見つめた。結婚か…。したい。ウェディングドレスを着て皆んなから祝われたい。リョウとなら一生上手くいく。賢くて穏やかで優しい。1年以上経っても彼は変わらない。

私も変わらない。ずっと彼を愛するだろう。ミアはこんな風に人を慈しむ事が出来て本当に嬉しかった。全てに於いて自信があるし、いつも幸せだった。愛って凄いんだなと思う。


※友人ABから煽られるシーンです


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