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アンドロイド転生248

新宿区:ショッピングモール

ルイは少女達とゲームエリアに訪れた。無重力のドームの中で射撃ゲームをプレイした。最初は勝手が掴めず戸惑って少女達に笑われたが、元から運動神経の良いルイはすぐにコツを掴んだ。

ゲームの後は皆んなで写真を撮った。こんな綺麗な子達と近くにいられるなんて夢みたいだ。スマートリング(携帯電話)に画像が反映されるのだがルイはリングを持っていなかった。

だがそんな事は恥ずかしくて言えなかった。やがてリツが時間を確認して残念そうな顔をした。
「もう帰らないと。楽しかったよ。有難う」
モネ達はがっかりした顔をする。

ニナがルイの背を叩いた。
「ねぇ!アドレス教えてよ!繋がろうよ!」
ルイは緊張する。リングを持っていないことがバレてしまう。オロオロとした。

リツが真面目な顔をした。
「ルイはリングを持っていないんだ。家庭の教育上なんだ」
少女達は目を丸くした。ルイは顔を赤くする。

リツは話を変えた。
「うちはここから車で5分のカフェなんだ。平家って名前の。もし良かったらホームページを探してみてよ。アンドロイドじゃなくて人間が料理をする珍しい店なんだ。気に入ったら来てみて」

少女達は目を見開く。
「えー!凄い!人間が作るの?今度行く!」
「美味しいケーキもあるよ」
「分かった!」

ルイはリツの機転が嬉しかった。もしかしたらまた会えるかもしれない。会いたい。ルイはチラリとモネを見る。そう。特に…モネに…。本当に綺麗だ。ビックリするくらいに。

「じゃあね、ルイ。楽しかったよ!」
「う、うん…俺も…」
「ルイもさ?モデルになればいいのに!」
「そうそう!絶対に人気になるよ!」
「お、俺なんて…」

恥ずかしくて顔から火が出そうだ。そんな事あるわけない。間もなく少女達と別れた。名残惜しかった。帰りの車では何度も想起しては1人で笑った。東京ってなんて面白いんだろう。

カフェに戻った。父親のタカオは笑顔だった。
「どうだ?楽しかったか?」
ルイは素知らぬ顔をする。
「…まあね」

楽しいなんてもんじゃない。凄かった…!ビックリだった…!また来たい。何度でも!その後はリツやアリスと共に2階の倉庫から日用品を車に運んだ。仕事を終えると店主がコーヒーを淹れてくれた。

「ケーキでも食うか?」           「はい」
濃厚でビックリする程美味しかった。これならモネ達も喜ぶだろう。

ルイがケーキに舌鼓を打っているのをアリスは微笑ましい気持ちで眺めていた。すると店主の妻が声を掛けてきてアリスに次回のターゲットの情報をダウンロードした。

東京都港区在住。金品はダイヤモンド20点。当主はカノミドウシュウ。どこかで聞いた名前だ。メモリを探る。アリスは驚く。こ、これは…。アオイの元婚約者ではないか。

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