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アンドロイド転生926

2118年12月5日 夕方
都内某所:カナタの高校

カナタは仲間達と共にシャワーを浴びていた。授業が終わった後、1時間しっかりとヒップホップダンスに熱中したのだ。運動神経の良いカナタはあっという間に上達した。

彼は国民になったら部活に入ると言う夢を叶えたのだ。音楽はヒップホップが好みだが歌うよりも踊る方を選んだ。身体を動かすのは気持ちが良かったし、技術を学ぶのも楽しかった。

服を着ると今度はショッピングモールへと皆で繰り出す。これもタウンに来たら、したい事のひとつだった。ショッピングを楽しみ自分で選んだ服を買う。それも叶ったのだ。

後は好きな人を見つけて付き合うこと。そしてそれも叶いつつあった。同じダンスグループのメンバーで同じ学年のアイリが気になっていた。今日、告白しようと思っている。

カナタは毎日が楽しくてならなかった。都会は新鮮で刺激があって好奇心を満たしてくれる。学校という集団生活も問題ない。それどころか勉強など簡単過ぎる。いつも満点だ。

ルイもシオンもそうらしい。タウンの学力の水準が低いのか自分達が高いのか?と不思議だった。実際のところ近親婚でメラニン色素の弊害を齎した遺伝子は頭脳という恩恵を彼らに与えたのだ。

カナタは仲間達7人でショッピングやゲームを楽しみ、フードコートでひと休みすることにした。これから夕食なのに若い身体はその前に高カロリーを摂取する。ハンバーガーを選んだ。

カナタはパティを見つめながら感心する。
「マジでタウンのメシって旨いよな。ホームじゃ肉なんて滅多に食べられなかったし…牛なんて食べたことなかった。狸汁とか猪鍋とか。」

仲間達はへぇ!と目を見張る。アイリは笑った。
「私は反対に猪鍋とか食べてみたーい」
「じゃあ、今度村に行く?」
「行く!行く!」

カナタは決意した。よし。言うぞ。
「じゃあ、俺達…付き合っちゃう?」
アイリは驚くが直ぐに満面の笑みを浮かべた。
「付き合う!」

カナタは立ち上がってガッツポーズをした。やった!やったぞ!そして仲間達にハイタッチを求めた。カナタの性格は嬉しい時は嬉しさを存分に表現するのだ。仲間達も喜んだ。

帰宅すると丁度夕食が始まるところだった。ホストファミリーのサイトウ氏が微笑んだ。
「今日もまた楽しそうだな」
「うん!俺!彼女が出来た!」

サイトウ氏の妻も微笑んだ。
「あら。それはおめでとう。会いたいわ」
「うん!連れてくる!ダディもマミーも喜ぶぞ!めちゃくちゃ可愛いから」

カナタはサイトウ夫婦をダディとマミーと呼んでいる。実の両親は父ちゃん母ちゃんだから何が良いかと考えた結果だ。サイトウ夫妻は初めは照れていたものの今ではすっかり慣れた。

愛犬のシェリーがやって来た。頭を撫でると嬉しそうに尻尾を振った。ふたりは親友だ。
「アイリって言うんだ。お前も会うんだぞ」
シェリーも喜んでいるように見えた。


※カナタが夢を語ったシーンです


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