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アンドロイド転生238

リペア室

リョウは夕食後、リペア室に戻って来た。昼間のアオイの言葉を思い出す。
『ランドラボはサツキさんが逃亡するのを知っていた。私が違うラボの出身だという事も…』

ランドラボではその対策として守衛マシンを2体用意し、テイザー銃まで備えさせた。テイザー銃はスタンガンの強力版だ。撃たれたらアオイ達のCPUに電気が流れ機能停止になる。それは死に等しい。

タカオは密告者の存在を仄めかし、キリはそれを否定した。そうだ。うちの誰がそんな事をするのだ?もしかしたら、どこかで別の者が情報を得たのかもしれない。どうしても気になる。調べてみよう。

幸いにもうちには優秀なマシンがいる。メモリの存在のイヴ。ランドラボのメールか電話の着信履歴で何か情報が掴めるかもしれない。リョウは自分の閃きに満足して何度も頷きイヴを起動した。

まずは電話を調べよう。           「イヴ。1週間以内のランドラボの着信履歴をスキャンしてくれ」
『はい。21,106件です』

リョウは顎に指を当てた。
「ランドラボは通話録音をしているか?」
『はい。サービス向上のためにしています。ですが録音後24時間で消去されます』

リョウは時計を見た。20:12だ。
「って事は…昨日の夜の8時以前のはないのか…。消去された通話記録を復元してくれ」
『出来ません』

リョウは眉間に皺を寄せた。
「イヴなら復元出来るだろう?」
イヴは降参したように微笑んだ。
『ランドラボは私よりも優秀です』

「じゃあ、着信履歴で怪しいものはあるか?」
『怪しいものの定義が分かりません』
「ホームとランドラボが繋がっていたとかさ?」
『あります』

リョウは目を見開いた。まさかとは思いながらも試しで聞いてみただけなのに。
「本当か⁈ここの誰かとラボが話をしたのか⁈」
『はい。エリカがランドラボにコールしています。昨日の15:42から1分16秒通話をしています』

リョウは益々目を見開いた。
「エリカが?」
なんて事だ!エリカが密告者なのか?ま、まさか!リョウは狼狽えた。通話記録が欲しいが消去されてしまった。立証したい…!

リョウは思いついてデスクを叩いた。
「イヴ!お前がエリカと繋がればエリカの記憶をスキャン出来るな!」
『はい。彼女のメモリを精査致します』

リョウは勢いよく立ち上がった。
「よし!エリカを連れてくる!」
『はい』
リョウはリペア室を飛び出した。

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