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アンドロイド転生664

2118年3月22日 早朝
東京目黒区:ハスミエマの寝室

昨晩のこと。エマのホームページにセフレ募集という書き込みがあり、彼女の自宅に男達が押し掛けた。次にエマが乱行パーティをした淫らな姿が暴かれた。世間は好奇の目を向けた。

朝を迎えた。エマはベッドで横になっていた。起き上がる気力もなかった。傍らにはタケルがおり手を繋いでいた。今のエマにとって拠り所だ。タケルがいるから正気でいられる。

WEBではエマの淫靡な姿が拡散されて賑わっていた。幸いにも彼女の両親はイギリスにいる。国外には飛び火していないようだ。彼らが知ったらどんなにか悲しむ事だろう。

枕元のスマートリングがコールした。エマはゆるゆると顔を向ける。相手は友人のヒカリだった。心配してくれているのだと思って応答した。宙空に立体画像が浮かんだ。

美しいヒカリの顔が歪んでいた。
『エマ!アンタ何をしてくれたのよ!!』
エマは眉間に皺を寄せた。
「え?」

ヒカリの顔は真っ赤だ。
『てめえ!ふざけるなよ!よくもやったな!』
「え?え?な、なに…?」
エマは起き上がった。

ヒカリの顔は正に鬼の形相だった。
『自分がヤバいからって私まで暴露するってどう言う事⁈絶対に許さない!殺してやる!』
ヒカリは金切り声を上げた。

エマはあまりの暴言に驚いた。
「な、なに?…言ってる意味が分かんない…」
『バックれる気⁈訴えるから!待ってろ!』
立体画像が消えた。エマは呆然となった。

タケルが呟く。
「暴露って言ってましたね…。まさか」
2人は顔を見合わせた。ヒカリには大きな秘密があった。画家ではあるがゴーストなのだ。

直ぐにWEBを検索した。ホログラムが浮かぶ。トップ画面に釘付けになった。
【ハスミエマが暴く!友人(画家:オクザワヒカリ氏)の作品はゴーストだった!】

詳細を追った。オクザワヒカリは2年前からスランプで自分の執事アンドロイドに描かせていた。その証拠映像もあるがタッチを調べれば直ぐに証明されるとエマが暴露したのだ。

ライターは警告する。2年の間に作品は20点取引されている。オクザワヒカリ氏は世界的なアーティストである事から顧客には外国人も多数いる。国際問題に発展する恐れありと。

エマは驚愕し、身体を震わせた。
「し、知らない…。こんな事を私は言わない…絶対に言わない。な、何で?ど、どうして…」
「エマさん…」

エマはタケルを見上げた。真っ青だった。
「タケルさん!信じて!私はこんな事を言ってない!ホントよ!絶対にホント!」
タケルはエマを抱き締めた。何度も頷いた。

なんて悪意だろうか。とことんまでエマを陥れた。追い詰めた。一体誰が?何の為に?
「分かっています。エマさんじゃありません」
エマは声を上げて泣き出した。

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