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アンドロイド転生549

リペア室

イヴの宣言した通り1時間24分後、ミオのメモリからウィルスプログラムがデリートされた。イヴに促されミオは寝台からゆっくりと起き上がった。呆然としているようだった。

ミオと寝室が同じで親友のチアキがミオの腕を軽く叩いた。満面の笑みを浮かべている。
「ミオ!しっかりして!直ったよ!なくなったよ!ほら。立ち上がってよ。皆んなに見せて」

ミオは小刻みに頷いて寝台から降りた。両足が床につき背筋が伸びた。150㎝だった身長は170㎝になっていた。念願の大人の身体になったのだ。やっと皆に披露する事が出来た。

ミオは呟く。
「ホントだ…私の中にいない…ウィルスは消えてる…。ああ。イヴ…有難う!」
恋人のルークがミオを抱き締めた。

ミオはルークの腕の中でポロポロと涙を溢した。美しい輝きだった。
「皆んな…皆んな…有難う。本当に本当に有難う御座います。皆んなのお陰…」

全員がミオに抱きついた。誰もが喜びに包まれた。アオイも涙が溢れた。
「ミオ…おめでとう!本当に良かった…!」
其々祝いの言葉が止まらない。 

サツキが優しく微笑んだ。
「ミオさん。私も25歳クラスです。同じになりましたね。皆んなに見せて下さい。新しいあなたをじっくりと見たいです」

全員がミオから離れ、ルークもゆっくりと彼女から離れた。ミオの細身の身体はスラリとしていたが豊かな胸の膨らみが眩しかった。ミオはクルクルと回り始めた。笑顔が輝く。

チアキが目を細めた。
「私も25歳クラス。あんなに小さかったミオが同じになっちゃった」
そう。ミオは数日前迄は14歳だったのだ。

扉が開いた。キリの夫のタカオだ。タカオは室内の空気の違いに敏感に気が付いた。全員が立ち上がっている。その中心にミオがいる。
「やったのか?デリート出来たのか?」

ミオは走り出すとタカオに抱きついた。
「うん!うん!皆んなのお陰なの!」
タカオはしっかりと抱き締めて何度も頷いた。
「良かったな。本当に良かった」

ミオを離すとじっくりと顔を見つめた。
「おお!本当に美人だな!ミオは子供の時も今も美人だ。自慢の娘だ」
53歳のタカオにとって彼女は娘だ。

リョウが大欠伸をした。
「よーし。親父、キリ、皆んな。俺は寝るぞ。睡眠不足はお肌に悪いからな」
全員が笑った。

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