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アンドロイド転生7
キサラギはアオイのアンドロイドらしからぬ態度を不思議に思い厳しい表情になった。
「おかしいなぁ…。これってバグ?あ!アイツかも?変なことインストールしたな!まったく!」
キサラギは指輪を口元に持って来た。
「ヨシムラにコールして。…あ、ヨシムラ君?アンドロイドに余計な情報を入れないでよ」
「なんのことですか?」
「誤魔化してもダメよ。今…R2-320iのテストしてるとこ。変なこと言い出してんの」
「はぁ?」
「アンインストールするからね!」
アオイは目を丸くする。アンインストール?まるでパソコンみたい。そう言えば先程ベビーの仕様をインストールしたことをアオイは思い出した。頸に何かを打たれた。そうだ、そうだった。
咄嗟に頸に手を伸ばす。指を這わすと小さな筋に触れた。明らかに人工物だ。悪寒が走った。こんな物が身体にあるなんて悍ましい。また怖くなってきた。ああ…私に一体何が起こったの?
「上には報告しないけどこんな事しちゃダメよ」
「何を言ってんだか分かりません」
「はい、はい、分かった。もういいわ。じゃね。R2-320i。後ろ向いて。首を出して」
また何かを打たれる…!恐怖を感じた。だが従えと内なる声がアオイを支配する。やむ得ず背中を向けた。キサラギは彼女の頸の右側を押した。アオイの右隣にホログラムが現れた。
その様は空中にパソコン画面が浮かんでいるようだ。これは何だとアオイは愕然となる。キサラギがアプリに触れると3Dの新芽が浮かんだ。青色にキラキラと光っている。
新芽はアンドロイドの中枢を表していた。アンドロイドの成長と共に新芽も育つ設定になっている。葉脈に指を這わすと空中にファイルが次々と立ち上がった。アオイは呆然と眺めた。
「おかしいなぁ。プログラムの中にないぞ?アイツ隠しファイル作ったな!」
アオイは不安になった。自分が放った言葉から事が大きくなりそうで怖くなってきた。
「あの…何か分かったのでしょうか?私はただ本当のことを言っただけで…」
キサラギはアオイの言葉を無視してファイルと格闘している。アオイの胸の鼓動が速くなった。
ホラ…私…ドキドキしてる。アンドロイドだなんてあり得ない。やがてキサラギはチッと舌打ちをした。顔が不服そうだ。だが直ぐに平静に戻った。
「ま、いっか」
キサラギはホログラムを閉じていく。アオイは驚く。ま、いっか?そうなの?もう追求しない?それでオッケー?随分呑気だと思ったけれど、事が済んだようなのでほっとした。
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