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アンドロイド転生481

青海埠頭

朝日は昇り、空はオレンジとブルーに彩られた。長い夜が明けたのだ。スオウ、クレハ、マサヤが埠頭に佇んでいた。タケルに倒された舎弟達は起き上がり、眩しそうに目を瞬かせた。

スオウはマサヤを見た。
「お前を勘当する」
マサヤは目を剥いた。直ぐに阿るように笑った。
「な、なんでだよ…?父さん…」

スオウは息子を見据えた。
「器もないのに組を寄こせと言い、ましてや弟の窮地でも助ける事もしない。私はほとほとがっかりした。お前など息子ではない」

マサヤは慌てた。元来小心者なのだ。父親に見捨てたられたらどうして良いのか分からない。なんとか父の機嫌を取り戻したかった。
「ご、ごめんよ。許してくれよ…」

マサヤは恐る恐るスオウの肩に手を掛けた。それをスオウは払い除けた。
「触るな!いいか!お前はこれから事件の張本人として責任を果たすんだ」

マサヤの顔が蒼ざめた。
「ど、どうすればいいんだ。なぁ!父さん」
スオウは睨む。
「30にもなって分からんのか。馬鹿者め」

遠くからパトカーのサイレンの音が響いてきた。マサヤは首を振り、後退りした。
「い、嫌だ!逮捕されるなんて嫌だ!」
駆け出した。一体どこに逃げると言うのか。

スオウは舎弟達に目を向けた。彼らは頷くとマサヤに向かって走り出す。直ぐに追いつき捕らえた。
「嫌だ!父さん!助けてくれよ!嫌だ!」
スオウの眼差しは冷ややかだった。

警察の車輌が到着し、人間やアンドロイドが降り立ちスオウ達に走り寄った。
「スオウトシキさんですね?クラブ夢幻の件でお話を伺います」

スオウはクレハに顔を向け、警官を見た。
「彼女は関係ないんだ。家に帰してくれ」
スオウは今すぐにでもクレハとソラを対面させたかった。

警官は首を横に振る。
「事件の時にクレハさんも夢幻にいた証言があります。彼女も同行して頂きます」
クレハは頬を引き締め頷いた。

警官はマサヤを見下ろした。
「スオウマサヤさんですね?あなたがアンドロイドに戦いの指示をしたという情報を得ています。あなたも一緒に来て下さい」

3人は其々別れて車に乗り込んだ。舎弟達も連行された。青海埠頭から何台もの車が発進した。ホームと手打ちをしても、彼ら自身の長い戦いがこれから始まるのだ。

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