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アンドロイド転生425

品川区:スオウトシキの邸宅

ヒロトの胸には4つの穴が開き、右腕は折られた。タケルの右の眼球は弾け飛び、胸も銃で撃たれている。スオウの残忍な瞳が爛々と輝く。
「いいぞ。そうこなくてはな!」

人質になり、タケル達の戦いを不安な気持ちで見守っていたエリカはタケルの様を見て息を呑んだ。何も考えていなかった。自然に足が動いた。タケルの名を呼び、彼に向かって走り出した。

エリカを背後から羽交締めにして腹にテイザー銃を当てていたスオウの舎弟は戦闘に夢中になり、注意が怠っていた。舎弟の腕からエリカがするりと抜け出したのだ。呆気に取られ、すぐに我に返った。

駆けて行くエリカの背にすかさずテイザー銃を放ったがワイヤーはエリカに届かなかった。
「くそっ!待て!」
舎弟はエリカを追った。

温室から庭園に向かってエリカは駆け抜けた。タケルとヒロトの間に割って入り、タケルに抱きついた。タケルの顔を見て片目の空洞から吹き出る赤い油を慌てて拭った。

そしてもう1人動き出した者がいた。スオウの妻のミナコだった。ヒロトの前に駆け寄ると膝を折ってしゃがみ込み、彼の胸に手を当てた。眉間に皺が寄る。口元が震えた。

ミナコはタケルに向かって叫んだ。
「もうやめて!お願いだからやめて!」
エリカも叫んだ。
「終わり!もう終わり!」

スオウは怒号を上げた。
「おい!邪魔だ!」
ミナコは夫を睨んだ。
「煩い!いい加減にして!」

エリカを追ってきた舎弟はテイザー銃で狙いを定めた。タケルは見逃さなかった。舎弟の前に飛び出すと銃を払い、胸に回し蹴りをした。舎弟はその場で崩れ落ちるように倒れた。

スオウは感心したように手を叩いた。
「全くお前は素晴らしい。マシンでありながら人間に攻撃が出来る。おい!ヒロト!お前も出来るのか?命令をすれば倒すのか?」

ヒロトは立ち上がった。
「旦那様のご命令であれば従います」
スオウは頷いた。
「よし。戦いは女どもに免じて許そう」

タケルは残った左目を見開いた。本当に?戦わなくても良いのか?ヒロトを倒さなくても良いのか?タケルはヒロトを見た。まるで生き別れの兄弟だ。彼が生きられるならそれは嬉しい。

スオウは残忍な笑顔を見せた。
「ヒロト。銃を拾え。トミナガを殺せ」
その場にいる全員が息を呑んだ。トミナガとはスオウの側近の男だ。それを殺せと言うのか?

ヒロトは静かに頷いた。
「はい。分かりました」
ヒロトは芝生をゆっくり歩いていくと落ちている銃を拾った。誰もが微動だり出来なかった。

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