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アンドロイド転生237
白水村
サツキを紹介された後、一同は散会して其々の家事に就いた。エリカはアリス達と洗濯物を畳み始めた。女性らは会話を楽しみながら作業をする。エリカは無言だった。悔しい思いで一杯だった。
チアキだけがホームに帰って来ると思っていたのに、アオイもサツキも一緒だった。何のために密告をしたと言うのだ。2人は村に必要がなかったのに。一体どんな幸運に恵まれたのだろうか。
何故ランドラボは逃亡を企てたアンドロイドを放置したのか?何の対策も立てなかったのだろうか。捕まえると言っていたのに。アオイ達は何も言わなかった。楽しそうな彼女らが忌々しい。
「エリカ?エリカ!どうしたの?」
アリスが声をかけた。エリカはシャツを握り締めていた。慌てて皺を伸ばし畳み始めた。
「考え事をしていた」
アリスは楽しそうに笑顔を見せた。
「サツキは良さそうな感じだね?」
そうか?ただのマシンじゃないの。自意識の芽生えのないアンドロイドはロボットと変わりない。
「私達とは違う」
「まぁ、そうだけれど。いつか心が生まれるよ」
「私は別にどうでもいい」
「どうしたの?嬉しくないの?」
「うん」
アリスは目を丸くした。
「どうして?」
「アオイが嫌いだから。アオイの仲間だから」
「まだアオイの事が嫌いなの?タケルとは繋がってないよ。心配しなくても大丈夫だよ」
そうだ。アオイはタケルと接していない。だが不満だ。去年の慰霊祭の時もショッピングモールで食べ物の話で盛り上がっていた。人間だった過去を共有する2人。悔しくて堪らなかった。
また今年も慰霊祭に行くと言うだろう。同じように家族を失った2人。転生した2人。私とは違う生があった2人…。いつかタケルとアオイは愛し合うようになるのではと怯える。
アオイを絶対排除しよう。またチャンスはある。エリカは微笑んでいた。その笑みは美しくて屈託がなかった。アリスはエリカの笑みを見て安心した。だがエリカの心の中までは分からなかった。
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