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アンドロイド転生449
青海埠頭
タケルはスオウの額に銃を向けていた。引き金を引けばスオウは死ぬ。タケルは自問する。俺は…人間の心を持つアンドロイド。人間を倒せる唯一のマシン。俺が生まれ変わった理由はそれだろ?
いいか?人間は残酷なんだ。残忍なんだ。スオウを見ろよ。ファイトクラブなんて作ってアンドロイドを戦わせる。ストリッパーを作って人間の性の奴隷にする。長年従事したヒロトを無惨に殺す。
人間だからと俺達を見下している。アンドロイドの尊厳を無視するんだぞ?こんな奴は生きていていいのか?生きる価値があるのか?俺はコイツを許せない。全てのアンドロイドの代表としてやる!
タケルは横目でクレハを見た。スオウの愛人だ。彼女の顔は恐怖で引き攣っている。女の前で彼を殺すのは躊躇われる。だが、もうここまで来たのだ。覚悟を決めろ。撃て!やれ!今すぐに!
『やめて!!』
タケルがトリガーの指に力を入れたその時に、タケルの内側にアオイの声が飛び込んだ。タケルが振り返ると、闇夜の中をバイクが躍り出て彼の目の前で急停車した。
アオイがバイクから降り立つと、勢い良くタケルに駆け寄り、間髪を入れずに彼の手首を掴んで宙に向けた。銃口が天を向く。タケルはアオイの動きの速さに驚いた。
アオイはすぐさまタケルの胸に回し蹴りをした。タケルは直撃され、尻をついた。手の内の銃が転がっていく。だがタケルはすぐに状況を把握し、太腿に力を入れて起き上がった。
同じ様に状況を判断した男がもう1人いた。スオウの側近のトミナガだ。銃で射抜かれた痛む肩をもろともせず、タケルが落とした銃を拾うとタケルに向かって瞬時に放つ。
夜のしじまに銃声が響いた。だが弾は逸れた。トミナガは連射する。タケルは避けたものの片目だけでは視野が狭くなり油断した。そのうちの一弾がタケルの太腿を貫通した。
タケルは膝をついた。エリカが叫ぶ。それを合図に舎弟達の銃が放たれた。嵐のように弾が闇夜を裂く。ルークとNo.8はマサヤから離れ、転がってコンテナの陰に身を隠した。
1人の舎弟の銃口がタケルに向いているのをアオイは見た。彼女の危機管理機構がまた働いた。時がゆっくりと流れた。トリガーが引かれる。銃弾が放たれる。真っ直ぐに飛んでいく。
アオイは何も考えていなかった。ただ身体が動いた。叫んで駆け出すとタケルの背を突いた。タケルが倒れ込む。弾がアオイの胸を貫いた。その衝撃にアオイはのけ反って倒れた。
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