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アンドロイド転生665
2118年3月23日
東京都港区の病院:モネの個室
タケルの恋人のエマがエリカの策略で窮地に陥った翌日。モネはネットニュースを見た。
「なんか凄い騒いでるよ。友達の秘密を暴露したんだって。酷い裏切りだね」
サヤカ(アオイ)は顔を顰めた。
「友達を陥れるなんて信じられません。元々偽りの仲だったのかもしれませんね。あ。お洗濯が終わりました。ランドリーから取ってきます」
モネは頷いてサヤカを見送ると窓の外を眺めた。雲ひとつない青い空に満開の桜が映えた。雪はない。景色が違うのだ。茨城県と東京ではこんなにも差があるのかとつくづく思う。
ここは都内のリハビリ専門病院。3日前に足首の骨折のオペを茨城県のメディカルセンターで行った。手術は成功し後はリハビリだ。母親のサクラコの希望で翌日には転院して来た。
昨日の夕方、執事アンドロイドのザイゼンが折れた頚椎を修復し見舞いにやって来た。
「本当に申し訳御座いませんでした。執事として責任を果たせず面目ありません」
モネは首を強く横に振った。
「ゼンゼンが熊から助けてくれた。有難う」
サクラコも何度も頷いた。
「そうよ。あなたのお陰よ」
ザイゼンはモネを熊から逃したもののモネは山道で足を取られ傾斜を滑り落ち足首を骨折してしまった。彼は責任を感じ、廃棄すると宣言したがサクラコが止めたのだ。
長年、共に暮らしたザイゼンと別れる事など出来なかった。サクラコの説得で彼は思い留まり、身体を修復してやって来た。モネのオペの成功に安堵しサヤカと5年振りに再会した。
ザイゼンはサヤカを見て微笑んだ。
「またお会い出来るなんて夢のようです」
サヤカは涙を零して笑った。
「なんだか昔に戻ったみたいです」
モネは嬉しかった。そうだ。本当だ。物心ついた時にはこの3人がいつも自分の側にいたのだ。幼かった頃の思い出が蘇る。
「ママ、またみんなで暮らしたい…!」
モネは母親に心を許すようになった。ルイとの別れに彼女が一枚噛んでいると確信して憤り、仕舞いには無視を続けたが元来穏やかな性格のモネに怒りは長続きしなかった。
サクラコはそれを見越しており、娘の不機嫌などどこ吹く風で終始愉しげに対応していた。全てはサクラコの思う通りになり、モネはルイとの別れを納得したようで満足だった。
昨夜サクラコとザイゼンは自宅に戻った。サクラコは画家で個展の日にちが迫っているのだ。サヤカがいるのだから大丈夫だと言うモネの言葉に母親は安心して病室から出て行った。
本当にモネはサヤカがいればそれで良かった。赤ん坊の頃からいつでもどんな時でも側にいた。自分の一番の理解者だったのだ。今の折れた心にサヤカの存在が癒しになった。
※モネと3人のエピソードの抜粋です
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