アンドロイド転生1007
2119年12月18日
ロンドン某所 公園にて
(ミアの視点)
愛していると言うリョウの言葉に意を決した。
「じゃあさ?私達…結婚する…?」
「け、結婚⁈」
リョウの声が裏返る。
彼の驚く声にミアは反対に驚いた。抱きついていたが離れるとリョウを見つめた。何だか腹が立って来る。ミアの表情と声音に不満が現れた。
「何でそんなに驚くの?」
愛し合うカップルが行き着く先は結婚なのでないかと思うのだ。私は彼と一生を共にしたい。奥さんになっていつかお母さんになりたい。なのにまるでリョウは嫌みたいではないか。
「だ、だって…ミアはそれでいいのか?け、結婚は一生の事だ。俺みたいな平凡な男で…イケメンじゃないし…一回りも離れてるおっさんだぞ?」
「リョウはカッコいいよ!ホントだよ!」
(リョウの視点)
カッコいい。そうだ。確かにミアはいつも褒めてくれる。だが…自分の事はよく分かってる。多分…愛情フィルターでイマイチな容姿が映画俳優のように見えているのだろうと思う。
リョウは宙を見つめた。結婚か…。そうだよな…と頷いた。いつまでもただ付き合っていられるわけがない。ずっと共にいたいと思うならちゃんと責任を取らなければ。
リョウは向かい合わせになるとミアの両手をしっかりと握って力強く頷いた。
「ミア。好きだ。本当に大好きだ」
「うん!私も大好き!」
その言葉に感激する。愛する人に愛されるとはこんなにも幸せなのかと。意を決する。
「プロポーズする」
ミアはまじまじとリョウを見つめた。
やがてミアの顔が喜びに広がった。
「ホ、ホント…?」
「でも別の日にする」
「え?ええ?今日じゃないの…?」
リョウは思い出していたのだ。多くのカップルの薬指にリングが嵌まっている事を。イギリスに来た当初はそれが不思議だった。結婚指輪というものを彼は知らなかったのだ。
リョウにとってwebは先生だ。何でも検索する。それで知った。指輪は一生を共にする証であり他人に公言しているのだと。そして婚約指輪なるものも知った。プロポーズに贈るのだ。
どうやらそれを贈る側は膝をついて差し出すらしい。相手が受け取ったら婚約成立なのだそうだ。なんて夢のあるシステムなのだろうと思った。ミアにはちゃんと手順を踏みたい。
リョウは手を繋ぎながらミアの薬指のサイズの目処を立てていた。こんなものかな?と思う。よし!明日は早速ジュエリー店に行くぞ!彼女に相応しい指輪を贈るんだ。
ミアは不安そうな顔をする。
「今日…プロポーズ…してくれないの?」
リョウはニッコリとする。
「日本にはハレの日ってあるんだよ」
「ハレノヒ…?」
「そう。特別な日…Special dayって事だな。プロポーズは良い日にしたい」
「Special day…」
ミアの顔が徐々に明るくなった。瞳がキラキラと輝く。頬がピンク色に染まった。
「oh!ハレノヒ!amazing!」
抱きついて来た。
「な?素敵だろ?」
「うん!うん!素敵!」
そうさ。だってプロポーズだぞ?縁起が良い日にするもんだ。リョウはきつく抱き締めた。
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