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アンドロイド転生422

イタリア:ジョゼフ・ルチアーノの邸宅

アントニオは親友のハッカーのカルロから連絡を受けた。アライブを発見したと言う。日本の北海道にいたそうだ。アントニオは瞳を輝かせた。
「やっぱりカルロは凄げえな!助かったぜ!」

カルロは目を伏せた。
『い、いや…。じゃあ、またな』
アントニオはカルロの後ろめたそうな様子に気付かず、喜んで父親のジョゼフを見やった。

「父さん!アライブが分かったぞ!」
ジョゼフは満足気に頷いた。叔父のベルナルドが手を叩いた。瞳がギラギラとしている。
「どこのクソ野郎だ?」

アントニオはカルロから送られたアライブの詳細を立ち上げた。宙空に立体画像が浮かび上がる。そのすぐ横にはプロフィールだ。3人の男の瞳は期待と興奮で煌めいていた。

画像は東洋人の中年男性の真面目そうな顔だ。本名はカズオ・タナカ。妻子と4人暮らし。日本の最北端に住んでいる。職業は警察官だ。ジョゼフは憤る。正義の男がハッカーなのかと。

親子で夢の国にいる動画。楽しそうに笑っていた。幼い子供と一緒に頭にネズミの被り物。ジョゼフは小馬鹿にして鼻で笑った。そうか。ネズミが好きなクソ野郎なのか。

だからアバターもネズミなんだな。なんて能天気な間抜け男なんだ。いい歳をしてカチューシャか。不気味なハッカーも蓋を開けてみれば、どこにでもいるただの父親なのだ。

ジョゼフは満足この上なかった。アライブの正体を知った事は勝利を確信したのも同然だ。もう見知らぬ者に翻弄される自分ではない。これで一矢報いるのだ。覚えておけ。

しかもアライブは自分の身元が暴かれたのを知らないのだ。いい気になっていることだろう。と、ジョゼフはいい気になっていた。甘かった。イヴの方が一枚上手だったのだ。

タナカカズオも妻子もこの世にはいない。イヴが作ったフェイク動画である。家族で夢の国を訪れて頭に被り物をしている。ソウタのアバターのネズミのキャラクターを表していた。

東京都葛飾区でソウタは拍手をしていた。
「イヴちゃん。演出が細かい!これは信じるよ!」
イヴはニッコリとした。
『有難う御座います』

ソウタは腹を抱えて笑い出した。
「ジョゼフ君の笑い顔がたまんないねぇ。勝ったと思ってるよ!」
スミレも可笑しそうに吹き出した。
「知らぬは己ばかりなり…ですね!」

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