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アンドロイド転生750

葛飾区:カガミソウタの邸宅

ホームのアンドロイドは激減した。トワ、エリカ、ミオが死んだ。タケルとアリスが去りアオイもいない。第三者ながらソウタは寂しかった。
「なんかよぉ…ホームは変わってきたな?」

宙空に浮かぶホログラムのイヴが頷く。
『そうですね。会議の結果、ホームは滅亡の道を決断しました。ですがそれに反対する存続派は子供達をタウンに送るのです。変革ですね』

ソウタは唇を尖らした。
「そうだなぁ…。変革だなぁ。上手くいくとイイけどな…。あ!そうだ!ホームはもう泥棒稼業はしないんだろ?やめたんだろ?」

イヴは微笑んだ。
『はい。致しません。ですがホームの資産は潤沢です。あと130年はつつがなく暮らせるでしょう。ソウタさんのお陰ですね』

そう。ソウタはホームとは10年の付き合いがあった。得意のハッキングの力を活かして泥棒稼業の片棒を担いでいた。ターゲットを選ぶ役割だった。だがその役目も終わったのだ。

イヴはニッコリとした。
『ソウタさんは変わりましたね』
彼女の言わんとしている事を理解した。引き篭もりだった自分が一歩も二歩も踏み出したのだ。

「まぁねぇ…」
最近は外に出て近所を散歩したり、先日は渋谷の桜祭りに訪れて、リツとアリスとダブルデートを楽しんだ。目覚ましい成長と言えよう。

だが長年外界と断絶していた身体には厳しかった。やむ無く途中でリタイヤした。それでもリツ達はまた会おうと約束をしてくれた。それが嬉しかった。初めての友達なのだ。

ソウタは両手を天に伸ばしてクロスすると後頭部を預けて身体を揺らし椅子をくるくると回す。
「でもよぉ…!なんかつまんねぇなぁ…!暇人になっちゃったよぉ〜」

スミレの瞳が輝いた。
「では、こうしましょう。リツさんの平家カフェに毎日お食事に行きましょう。栄養があるものを食べてもっともっと街を歩くのです」

ソウタは困った顔をした。
「え〜。歩くのぉ?」
「ソウタは運動不足です。しかも栄養不足です。そんな細い身体では私を守れません」

強靭な身体を持つアンドロイドのスミレの方が余程ソウタを守れるが、あえてスミレは言ってみた。ソウタに張り合いを持って欲しかった。
「ね?如何ですか?」

ソウタはスミレを見つめた。目が輝いた。
「そうだな!スミレを守るぞぉ〜。よし!今から食いに行くか!イヴちゃん。行ってくる!」
『行ってらっしゃいませ』

イヴは微笑んだ。ソウタにも彼なりの幸せを掴んで欲しいと思っていた。たとえミオがこの世から去ったとしても人には其々の進む道があり、置かれた場所で花を咲かすものなのだ。

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