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アンドロイド転生296
2118年2月8日 夜
東京都港区
カノミドウ邸:ダイニング
「タクミ、タカヤ。話がある」
家族一同が揃った夕食後、この家の当主で123歳のカノミドウシュウは息子と孫に声をかけた。
「書斎に来てくれ」
シュウが杖を付いて椅子から立ち上がると曾孫のトウマも倣った。曽祖父は父親達に銃とダイヤモンドの件を追及するに違いない。
「僕も行く」
シュウはゆっくりと頷いた。
「そうだな。お前も知る権利はあるな」
「父さん?知る権利って何だ?」
「これから分かる」
シュウが歩き出すと息子達も続いた。エレベーターに乗って最上階の書斎に行く。ここは現在、息子と孫が使用していた。部屋に入るとシュウはソファに腰を下ろした。
「ここに、疚しい事実があるらしいな」
息子は眉根を寄せ、孫のタカヤが慌てたように愛想笑いをした。
「な、何の事だ…?」
シュウは孫を見て溜息をついた。
「そうか。タカヤか…。何て馬鹿な事を…」
息子は益々眉間に皺を寄せた。
「父さん、何を言ってるんだ?」
トウマが射るような視線を父親に向けた。
「お父さんなのか?銃とダイヤは…?」
タカヤは何故分かったのだと驚愕した後、呆然とした表情になった。
シュウは孫を睨んだ。
「カノミドウの家名を汚したな」
タカヤは狼狽えた。
「な、何で…知っているんだ?」
父親のタクミが声を上げた。
「ほ、本当なのか?み、見せろ!」
タカヤは暫く躊躇していたが漸く囁いた。
「コードナンバーKT8569オープンしろ」
ナンバーと声帯認証を確認した室内のAIは指示に従った。ステンレスの壁に筋が入り、内側から灯りが漏れた。タカヤが壁を突くと引き出しが滑り出した。数多くの銃が並んでいる。
タクミが近付いて目を見開く。
「こ、これは…なんだ?」
「ただのコレクションだよ」
「こ、こんなに沢山…!」
トウマも銃に近付いた。
「これって本物?」
タカヤは胸を反らした。
「ああ。そうだ」
ならば銃刀法違反である。何の免許もないタカヤが所持してはならないのだ。シュウは呆れたように溜息をつき、トウマは父の罪を恐れた。こんな事が世の中に暴かれたらどうなるのだ。
タカヤの瞳が生き生きとし始めた。
「これを見てくれ。火縄銃だぞ。で…これは最新モデルだ。時代と共に変わったろう?」
全員が呆れた。
トウマは眉根を寄せた。
「こんなのどこで手に入れるんだよ?」
「まぁ…色々とあるんだ」
目を逸らしたものの嬉しそうだ。
タクミは震える手で息子の腕を掴んだ。
「一体何の為にこんな物を!」
「美しいじゃないか!」
タカヤの瞳が爛々とした。
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