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アンドロイド転生629
白水村の集落:リペア室
アオイ達は目覚めてリョウを見た。
「研究は無事に終わった?大丈夫?」
リョウは頷いてチラリとエリカを見やった。エリカは無表情でリペア室から出て行った。
父親のケンジが顔を顰めて苦笑した。
「アオイ達は一晩中電源オフか。じゃあルイの騒動は知らないな。昨夜は村で大騒ぎだ」
アオイは思いついた顔をした。
そう。そうだ。ルイの恋人が村にやって来る筈だった。その為にアオイは山登りの為の服を一式貸したのだ。無事に到着したのだろう。
「彼女さんが来たんですよね?」
ケンジは首を横に振った。
「いや。来なかった。遭難したんだ。雪が降ってな。低体温症と骨折らしい」
アオイは驚いて目を丸くした。
ケンジは微笑む。
「タケル達が助けて病院に運んだ。無事だ」
アオイは胸を撫で下ろす。
「良かった…!」
リョウは父親とアオイの会話を横目にタケルに通信をした。
「アオイ達を起こしたよ…今…側にいる」
『そうか』
タケルの立体画像がリペア室の宙空に浮かんだ。
『アオイ。報告がある。俺は今病院にいる』
「ルイの彼女さんを助けたんですってね」
アオイはその人がモネだとは知らないのだ。
タケルは頷いた。
『心して聞いてくれ。その彼女はタカミザワモネと言う。お前の育て子だろ?母親はサクラコ。執事アンドロイドはザイゼンだ』
アオイの瞳はあり得ないほど見開かれた。
「え?え⁈今…何て言ったの…?」
『お前と俺は昔…繋がったろ?メモリにモネ達の名前がヒットした。思い出したんだ』
アオイの顎がガクガクと震えた。
「モ、モネ様が…ルイの彼女?え?本当に?い、今…病院にいるの?ホントに⁈」
アオイの隣でサツキも驚く。
タケルは力強く頷いた。
『ああ。雪は止んだ。来い。麓まで来い。迎えに行く。病院に連れて行く』
アオイは口に手を当てヘナヘナと座り込んだ。
サツキも腰を下り、しゃがむと呆然としているアオイの肩に手を掛けて微笑んだ。
「アオイさん。これはご縁ですね」
縁と言う言葉が好きなサツキらしかった。
アオイは驚きの余りに混乱していた。
「サ、サツキさん…。ど、どうしよう…」
「どうもこうもありません。行きましょう。モネ様達にお会いしましょう」
立体画像のタケルも再度頷いた。
『兎に角来い。モネは意識は回復した。足首を骨折をしたがこれからオペをする。お前が来る頃には終わってる。会って力付けてやれ』
アオイは漸く状況を把握したようだ。
「う…うん。うん…!うん!行く!直ぐに行く!サツキさんも一緒に来て…!」
立ち上がると2人はリペア室を飛び出した。
※サツキが縁と言うエピソードです
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