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アンドロイド転生538

東京都葛飾区:カガミソウタの邸宅

ソウタはビールを手にしている。スミレは水だ。2人は乾杯をした。イヴからリツは釈放されたと報告を受けたのだ。
「あ〜。良かったなぁ!スミレ〜」

スミレはニッコリとする。
「イヴさんの脅しは素晴らしいです。私も見習いたいです」
「ダメダメ〜。スミレはそのままでいいの」

ホログラムのイヴが微笑む。
『心配でしたね』
「そうだよぉ!どうなるかと思った」
『リツはたった今、家に到着しました』

ソウタのリング(携帯電話)がコールした。相手先はリツだ。ソウタは喜んで応答する。リツの立体画像が宙に浮いた。満面の笑みだ。
『ソウタさん。帰って来ました』

「出所おめでとう〜」
ソウタはビールのボトルを掲げて見せた。リツの背後で両親と若い女性が出所だって〜と笑い合っている。過ぎればそう、笑い話だ。

『ソウタさんが警察にデータを送ってくれたんですよね?決め手になったそうです』
「良かったぁ!イヴちゃんがさぁ、法的効力がないって言ったけど…一応送ってみた」

裁判になったならばハッキングした証拠品には効力はないが、被害届が取り下げられオクザワヒカリ本人が被害に遭っていないと供述をしたのだ。事実確認として採用された。

ソウタの送ったデータが役に立った。リツはオクザワヒカリに触れていない事が証明されたのだ。ソウタは心から安堵した。リツとは4日前に知り合ったばかりだが大切な友人なのだ。

ソウタはリツの隣の女性を見て目を見開いた。
「あ!その子って彼女?」
リツはニッコリとして頷いた。
『そう。アリスです』

リツはニュージェネレーション。アンドロイドと恋をする類の人間だ。それはソウタも同じ。スミレもアンドロイドだ。だからこそ、リツにはより一層親しみを感じるのだ。

アリスが頭を下げた。
『ゲンの事を探してくれて有難う御座いました。ミオのウィルスはまだ外れません。でもきっとイヴ達ならデリートしてくれます』

そう。そもそも事の発端は、ミオのウィルスをゲンが仕込んだと知ったアリスがソウタに頼ったのだ。ゲンを探して欲しいと。その仲介役がリツだった。そして事件に巻き込まれた。

アリスは続けた。
『今、私の仲間のタケルがヒカリの自宅を訪れています。ゲンと交渉しています』
ソウタは頷いた。タケルの勝利を祈るばかりだ。

そしてホームではイヴとキリとリョウが躍起になって作業をしている。ソウタも協力するつもりだ。自分の力を役立てたい。リツは親友でミオはリツの家族だ。ならばミオは俺の妹分だ。

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