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アンドロイド転生395
首都高速道路 深夜
アオイは都心に向かっていた。チアキの運転するバイクの後部座席に跨ったアオイは逸る気持ちでいっぱいだった。プランBを立てるべくスオウの息子を誘拐する。これは時間勝負なのだ。
その前に仲間達はどうなっただろうか。無事だろうか。命を賭けてホームを出発した彼らの事が心配だった。アオイはイヴに通信した。
『皆んなはどんな状況なの?』
アオイの内側からイヴの声が響く。
『タケルはスオウ邸の警備アンドロイドを全て倒しました。しかしスオウの部下に銃で撃たれました』
『ええっ?』
『深刻なダメージはないようです。アンドロイドの身体は銃はそれ程脅威ではありません』
アオイは眉根を寄せた。
『ホントに大丈夫なの?』
『はい。問題ありません。テイザー銃の方が余程脅威なのです。仲間は全て機能停止になりました。ですがエリカは無事です』
アオイはホッとする。
アオイは不安そうに眉間に皺を寄せた。
『そ、それから?ルーク達は?』
『歌舞伎町のクラブで戦闘が始まりました。多くの客が巻き添えになっています』
アオイは目を見開く。
『ええっ!』
『人間達が警察に通報をしましたが取り合いません。警察組織は危機管理能力が低いのです』
アオイの胸が苦しくなる。
『何とかならないの?』
『戦闘の動画を送れば出動すると言っています。でも人間達は右往左往して不可能です』
『イヴが送って!』
イヴは益々平然とする。
『ミオが再三、人間達に警告をしたのに興味本位で聞く耳を持たなかったのです。これは自業自得です。私の出る幕ではありません』
彼女は人間を助けるつもりなどなかった。
アオイの声に悲痛が滲んだ。
『そんな事を言わないで!助けてあげて!』
『自分の身は自分で守るものです』
『そ、そうだけど!でも…!』
チアキが割って入った。
『イヴが正しい。人間なんて好奇心の塊なの。アオイが助けようとしているスオウがファイトクラブなんて馬鹿なモノを作ったんだよ』
イヴは終わりと言わんばかりに話を変えた。
『さて。プランAですが、ハッカーのカガミソウタさんはイタリアマフィアと交渉中です』
『そ、そう』
アオイの内側でイヴの自信が伝わる。
『私も中国人マフィアと交渉中です。必ずや成功させます。あなたはプランBを守備良く行って下さい』
『う、うん。分かった』
私にはやるべき事がある。アオイは緊張した。チアキの細い腰を掴み直す。空を見上げるとぽっかりと満月が浮いていた。昔も今も変わらずアオイを照らす。もうすぐスオウソラのマンションだ。
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