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アンドロイド転生424

品川区:スオウトシキの邸宅

庭園では執事のヒロトとタケルが戦っていた。残忍なスオウは同じモデルのどちらかが機能停止…言わば死ぬ姿が見たいと言い出した。タケルはエリカを人質に取られており従うしかなかった。

なかなか決着のつかない2人だったが、タケルは窮地に陥っていた。ヒロトはタケルの背に馬乗りになっており、羽交い締めにして頸椎を折ろうとしていた。ギリギリと首が曲がっていく。

タケルは身をのけ反りながらこの危機的状況から抜け出す方法を考えていた。アンドロイドの急所の頸椎が折られたら、戦いは俄然に不利になる。直ぐに打開策を考えるのだ…!今!たった今!

タケルはルークの言葉を思い出す。
『犠牲的反撃…自身を高温化…』
タケルは決意した。発火する寸前まで高温化してヒロトを自分から引き離すのだ。

猛烈な勢いでタケルは全身の熱を上げた。ヒロトはタケルの首に右腕を回し、左手で顔を押さえ首を折ろうとして身体を密着させていたが、発火寸前のタケルの熱に怯んだ。

その一瞬の隙をタケルは見逃さなかった。ヒロトを背負い投げをした。ヒロトの身体が宙に浮き、飛んで行くと芝生をゴロゴロと転がっていった。タケルは間髪を入れずに立ち上がった。

転がっていくヒロトの上に馬乗りになった。今度はタケルが優勢になった。ヒロトの胸を連打した。銃で開いた穴から油が噴き出す。白いシャツが真っ赤に染まる。まるで人間のようだ。

ヒロトは反撃する。その右腕をタケルは掴むと捻った。猛烈な勢いで腕の可動方向を逆にする。折るつもりだった。戦力を挫く為にはやむ得ない。望まない戦いでもやらねばやられるのだ。

ヒロトはタケルの狙いを悟った。必死に身体を起こそうとするがタケルの太腿がガッチリとヒロトの胸と腹を押さえ込んでおり、逃れられない。ヒロトの腕がギリギリと捻られていく。

互いの目が見つめ合う。タケルは歯を食いしばり射るような視線を向けた。ヒロトも口元を歪め挑戦的な瞳になった。攻撃する者、防御する者。その狭間で揺れる同じ顔。

破壊音と共にヒロトの右腕は芝生の上に転がった。もう使い物にならなくなった。タケルは己のした事に慄いた。やらねばと意思を固めても、暴力はやはり恐ろしかった。

そんなタケルの隙をついてヒロトはタケルの横面を凄まじい勢いで叩いた。寸でのところで避け、両眼は免れたもののタケルの右の眼球が飛んでいった。開いた穴から赤い飛沫が散った。

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