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アンドロイド転生720

白水村:ルークとミオの部屋

扉が開き、ミオが部屋に飛び込んで来た。ルークに向かって駆け寄ると抱き付いた。ポロポロと涙を零して彼の耳元に囁いた。
「サヨナラ…してきた…」

ルークは深々と溜息をついた。
「そうか…」
コピーされて生まれ変わったミオはオリジナルのミオを機能停止(死)したのだ。

当初はルークがその役目を担うつもりだったが、ミオは納得しなかった。恋人に引導を渡されるなんてそんな残酷な事はないと反対したのだ。だから自分が決着をつけた。だが辛かった。

「あの子…最期に…あなたに会いたかったって…。可哀想だった…凄く凄く」
ルークの胸が痛んだ。オリジナルも助けてあげたかった。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

ルークはミオの顔を見つめて頬に触れるとミオから零れ落ちる涙を拭った。
「愛している。どんな時もどんなミオでも守りたい。これからも守る。お前が大事だ」

ミオも頷いた。ルークと同じ気持ちだった。いつの頃からかルークが誰よりも大事な存在になった。だからスオウとの戦いに向かった彼を追った。何があっても離れないと誓ったのだ。

私達は一心同体。一蓮托生。そう決めていた。結果、戦闘に勝利したものの身体を酷く損傷した。別の身体に換えなくてはならない程に。だが憧れの大人になれた。14歳から25歳に。

キリは少女の頃の面影を残してくれたのでまるで成長したかのようだった。人間に憧れているミオはそれが本当に嬉しかった。しかも30歳クラスの彼と見合う大人の女性。幸せだった。

その身体をたった2ヶ月で捨て去り、また生まれ変わってしまった。今の容姿は別人だ。
「ルーク…。どんな私でも好き?ホント?」
「外見じゃない。本質が好きなんだ」

ミオは薄く微笑んだ。
「私達…本当にどうしてこんな感情が生まれるんだろうね。マシンなのに自意識が芽生えて…心があって…お互いを大事に思う…。不思議だね」

ルークは笑った。
「人間だって不思議だ。彼らだってきっと心はどこにあるのだろうかと思っているさ」
「そうか…人間も…。そうだね」

2人は見つめ合った。そしてそっと口づけを交わす。キスという行為はアンドロイド達にとって快楽を得られるわけではない。だが人間のように振る舞う事で幸せな気持ちになる。満足なのだ。

自分達の存在は人間を模倣して造られた。性別があり、涙を流したり食事をする機能もある上に、性行為も可能だ。より一層人間に近付くように。飽くなき科学の追求の産物だ。

そして驚く事に自意識まで芽生えてしまった。ついに愛を知ったのだ。
「俺達…いつか結婚しよう」
ミオは嬉しかった。まるで人間みたいだと。


※ミオがルークと共に戦いに向かうシーンです


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