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アンドロイド転生304

カノミドウ邸
(書斎にて)

タカヤは気づかず舌打ちをしていた。大事な銃のコレクションを手放す悔しさは、サヤカの事を調べない限り許せなかったのだ。絶対に尻尾を掴んでやる…!何がなんでも追い詰めるのだ。

「父さん。家族には迷惑をかけないよ。ダークウエブの連中も俺はいつもアバターで取引しているからカノミドウの事は知らないんだ」
タカヤは取引サイトから目が離せない。

トウマはタカヤの呑気な口調に呆れる思いだった。オヤジは馬鹿じゃないのか?そんな事はすぐにバレるに決まってる。これ以上アンダーグラウンドの奴らと闇の取引をしないでもらいたかった。

だが、サヤカの事は思い出すだけで腹が立つ。アイツがうちを襲ったからこうなったのだ。いや、そもそも親父のせいか?どっちにしろ我が家の危機が不服でならない。

サヤカの奴め!生まれ変わったとか、シュウ祖父ちゃんと婚約者だったとか言って老人を騙してアンドロイドの癖に人間を惑わしている。思い出すだけで腹が立つ。

タカヤの瞳が輝いた。
「お!連絡がきたぞ!金品強奪が発生しているのは…なんと10年前からだそうだ。皆んな非合法で得た物だから訴えられなかったそうだ」

トウマは驚く。そんなに前からアイツらは盗みを働いていたのか…!タカヤはニヤリとする。
「TEラボのマシンだとリークしてやったぞ!何か動き出すかもしれん」

「お前はそれくらいにしておけよ。関わるなよ」
「分かってるよ」
そう応えたもののタカヤの腹立ちは納まらない。どうにかしてリベンジしたい…!

タカヤはメールを読んでいた。
“コルト様。こちら三銃士です。銃を売られるとのこと。承知しました。画像をアップして下さい。直ぐに取り引きを開始します“

タカヤ悔しい思いでいっぱいだった。こうなったらサヤカについてもwebに流して貰いたい。
“三銃士様。コルトです。有難う御座います。銃のことは宜しくお願い致します“

コルトとはタカヤのハンドル名だ。相手の三銃士という名のハンドル名も尤もらしい。タカヤは残念な気持ちになりながら大事な銃の画像をアップした。三銃士は直ぐにダークウェブに流した。

マニアが直ぐに買い付けをしてくる。ああ…俺の大事な宝が。くそっ!畜生!よし!三銃士よ。サヤカの事も流してくれ!三銃士から応答が来る。
“TEラボが窃盗をしたのですね?流します“

ネットワーク内は瞬く間に拡散される。
〉アンドロイドが泥棒家業!(笑)
〉TEラボはクソ企業
〉ウチにも来て
〉オメエーの家なんて何もねぇ


東京都内某所
(ある邸宅にて)

同時刻。1体の執事アンドロイドが主人に顔を向けた。彼は自分の内部をネットに繋いでいる。
「旦那様。TEラボのアンドロイドが盗みを働いていたようです。情報が拡散されています」
「TEラボだと…?」

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