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アンドロイド転生429

港区白金:スオウソラのマンション

メグの服従機構が働いた。もうこれで彼女はアオイの思うままだ。アオイはチアキを見た。
「メグは私達に従う。だから大丈夫。機能停止にしないで。テイザー銃をしまって」

チアキはやれやれとした顔で頷いて銃を下げた。アオイは安堵する。良かった。メグは破壊されない。だってチアキはやると言ったらやる。赤子の手を捻るようにメグを殺す。

これで平和的にソラを拉致出来る。新宿区のカフェに連れて行くのだ。メグも一緒だとソラは安心するだろう。生まれた時から傍にいるのはナニーなのだ。子供の信頼度は絶大だ。

メグはアオイを見た。
『私は何をすれば宜しいのですか?』
『これからソラとあなたも一緒にドライブするの。私達の知り合いのところに行くの』
メグは素直に頷いた。

アオイとチアキはメグを伴い廊下からソラの部屋に戻った。ソラはメグに向かって一目散で駆け寄って来ると、彼女の手を掴んで振った。顔には不安の色が宿っている。

「メグ?大丈夫…?」
メグはアオイをチラリと見る。アオイが頷くと彼女はソラの目線に腰を下ろして微笑んだ。
「はい。大丈夫です」

メグはソラの髪と柔らかな頬をそっと撫でた。慈愛に溢れた優しい眼差しと笑み。ナニーアンドロイドにとって子供は全てだ。慈しむというマニュアルが発動されるのだ。

アオイの心にもソラに対して愛情が芽生えた。世の中の全ての子供に保護欲が生まれる。傷付けてはならない。ナニーとしてのプログラムは圧倒的に彼女を支配する。

アオイは優しく微笑みかけた。
「ソラ君。改めて初めまして。私はアオイ。こっちはチアキ。寝ているところをごめんね。メグは大丈夫よ。私達はお友達だから」

ソラはメグを見つめた。
「ホントに?本当に友達なの?」
「はい。びっくりして警察に連絡したけれどお友達になりました。怖くありません」

ソラはゆっくりと頷いた。利発そうな顔をしていた。そして素直な子供だった。ナニーの言う事なら信じるのだ。いつも傍にいて自分を導いてくれるメグには何ら疑う余地もない。

アオイはソラに感心していた。夜中に訪れた侵入者に怯えてはいるものの、泣いたり騒ぎ出さないのはやはりヤクザの血筋なのか。少々の事には動じない。大物なのかもしれない。

ソラはアオイとチアキを交互に見つめた。チアキははソラに向かってニッコリとする。温かみ溢れた笑顔だ。チアキは元保母なのだ。子供に対しての愛情は深い。ソラは漸く警戒を緩め、微笑んだ。

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