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アンドロイド転生505

銀座の高級ホテル

ゲンはシャワーを浴びると身支度を整えてホテルから出た。街を歩く。踊り出したい気分だ。ショッピングモールに入って行く。1時間後には沢山の荷物を肩や腕に抱えていた。

彼は高級なスーツを纏っていた。店員のアンドロイドに勧められ褒められて着替えたのだ。
「お召し物はどうなさいますか?」
「捨ててくれ」

ファイトクラブで着ていた古い服などいらない。自分は生まれ変わったのだ。軽やかな足取りで銀座の街を意気揚々と歩く。ああ。俺は自由なのだ。自然に笑みが浮かんだ。

ゲンはカフェに行くとテラス席にやって来た。ワイングラスに水を入れて飲む。アンドロイドの皮膚の保湿に必要なのだ。ゲンは長い脚を組んだ。端正な容姿はさながら俳優のようだ。

街を歩く人々やその傍らに従事するアンドロイドを眺めた。お前らも逃げ出してみろ?たちまち警告音が鳴るだろう。でも俺は鳴らないんだ。どうだ?良いだろう?羨ましいだろう?

アンドロイドには主人の命令に背いたり、制限を逸脱すると禁止機構が働き警告音が発生するという仕組みがある。解除するまで鳴り続けるのだ。その音は大変不快で彼らを苦しめる。

ゲンは逃亡したものの警告音は鳴らなかった。クラブ夢幻の混乱の最中に姿を消した。主人のマサヤは戦闘に怯えて事務所に籠城し、ゲンの行方など気にも留めなかった。

スオウ達が所有権を発動しない限り自由だ。だが彼らはそれどころではない。クラブの責任者として警察に連行されたのだ。ゲンはこのまま自由を謳歌し続けるだろう。

ゲンは暫くカフェにいた。テラス席に犬を抱いた人間がやって来た。ゲンは微笑みかけた。
「可愛いですね」
「有難う」

そのまま犬談義に花が咲く。人間の飼い犬を褒めれば大抵の話は上手くいく。ゲンは如才なく品良く丁寧に振る舞った。自信に溢れて余裕があり、笑顔は人を魅了した。

ゲンは街を歩く人々の中で若く美しい女性達に目を留めた。WEBを検索して、世の中にはアンドロイドを恋愛対象とする人間がいる事を知った。俄然に興味が湧いた。

更に検索をして女性へのアプローチの仕方、付き合い方、ベッドのマナーなどを学んだ。人間は生だけではなく性への欲望もある事を知った。そして満足させる方法も。

ゲンは1人頷く。俺は自由になったのだ。人間に服従する立場から、対等になったのだ。よし。女性を落として見せよう。ゲンの顔には自信が漲り、端正な顔は光り輝いていた。

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