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アンドロイド転生370

新宿区歌舞伎町:クラブ夢幻

店内は重低音のサウンドと、激しいリズムの応酬だった。暗闇には色とりどりの光線が放射状に点滅しており時折蛍光色のミストが噴射されキラキラと客の上に降り注いだ。

ルークを筆頭にミオと5体の戦闘用マシンがステージの前にやって来た。DJのアンドロイドは気にもせずパフォーマンスをやめなかった。人間達も事の大きさに気付かず音楽に酔いしれている。

中央のリングは週末以外は戦闘ショーは開催されない。何本ものポールが刺さっており、ポールダンサーの美しい女性アンドロイドがほぼ全裸で宙を舞っていた。ルークに向かって妖艶に微笑んだ。

人々は酒を煽り、麻薬を吸い、覚醒剤を吸引する。あちこちのソファでは異性同士、同性同士で睦み合っていた。7体のアンドロイドが場に踏み入ったところで彼らの快楽の邪魔にはならない。

バーコーナーでは通話を受けたマサヤの舎弟のミヤザワが首を捻り大声で叫んだ。
「あ?ボディガードが何だって?」
『マシンがやって来て倒されたんですよ!』
黒服のモヤシ男がイライラとした顔をする。

マシンがやってくる事も、ボディガードがやられる事もミヤザワにとって想定外だ。一体何の事だろうと眉根を寄せた。第一周囲の音が煩くて何を言ってるかよく分からない。

ミヤザワはカウンター席から立ち上がった。ハイボールのグラスは忘れない。酒を口に含んで辺りを見渡す。ステージの前に微動だりしない異様な集団を見つけた。あれは何だ?1人、2人…7人…。

そのうちの3人がポールダンサーのアンドロイドをポールから毟り取って客に向かって投げ飛ばした。悲鳴が上がる。人々は逃げ出すが、それでも面白がって残る者もいる。余興だと思っているようだ。

だがミヤザワは驚いて目を見開いた。あの力の強さは人間じゃない!アンドロイドだ!モヤシ男の言葉が蘇る。マシンがやって来て倒されたと。あ!アイツらか!なんでだ?

ミヤザワは眉間に皺を寄せた。おかしい。今日はファイトクラブの日じゃないぞ?対戦相手が日にちでも間違えたのか?彼は人々の間を縫って何とかステージ前にやって来た。

ミヤザワは7体の前に躍り出た。
「おい!オマエら何もんだ?ファイトクラブは週末だ!帰れ!」
叫んでも音楽の音にかき消される。

ルークが叫ぶ。何を言っているか分からない。ミヤザワはルークに近付いた。耳を傾けた。
「スオウマサヤを呼べ!」
ミヤザワは呆気に取られ、ルークを見つめた。マシンが人間に向かって何て言い草だ。

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