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アンドロイド転生298

カノミドウ邸 書斎にて

シュウの孫が後ろ暗い事をしていたと判明した。するとトウマはアオイが何もかも知っていると言い出した。シュウは慌てた。アオイの事が知られる。口外しないと約束したのにトウマの馬鹿め…!

「ま、待て。トウマ」
シュウはソファから立ち上がったが足元がふらつきまた座り込んだ。全く体力の低下は否めない。なんてひ弱な自分なのだ。

トウマは息を吸い込んだ。
「俺達が何で知ってるんだと思う?うちに泥棒が入ったからだよ」
タクミ達が目を見開いた。

「年末にマシンがうちに押し入ったんだ。ダイヤを盗んだけど次の日に返しに来た。で…奴らが銃のことを暴いた。だから俺は銃の事を知ったんだ」
「な、なんだと?マシンが泥棒?」

トウマは鼻で笑った。
「そうさ。そんな事が出来るマシンもいるんだ。俺もビックリしたけどな。アイツら何をするか分からないぞ?うちの事をバラすかもしれ…」

「トウマ!」
シュウはトウマを遮った。
「そんな事はしない…!」
「祖父ちゃんは騙されてんだ!」

タカヤは割って入った。
「そのアンドロイドは一体誰に命令されたんだ?裏に人間がいる筈だ。調べてみる」
タカヤは直ぐにスマートリングを起動してネットに繋げた。ホログラムが空中に浮かぶ。

トウマが眉根を寄せた。
「どうやって?調べんだ?」
「銃を手に入れた先はその道に精通している。ダークウェブで聞いてみる」

「ダメだ!」
シュウが一喝した。3人はシュウの剣幕に一瞬だけ怯んだが直ぐに立て直す。当主と言え結局は老人なのだ。体力もない。そう。発言力だってないのだ。

すぐにタクミが声を上げた。
「おい!タカヤ!そんな事よりもダイヤの方もどうにかしろ。秘書を連れて来い」
「ダイヤの方は大丈夫だよ」

「何を呑気な…!」
「アンドロイドが上手くやってるからさ」
「何を言ってる!」
「平気だって」

タクミはシュウに顔を向けた。息子と話しても埒が開かないと判断した。
「父さん、まず会社を守ろう。次に私達を…家族を守ろう。きっとうまくいく」

シュウは呆れた。息子の自己保身にしろ孫の楽天振りにしろ、私の血筋達はこんなにも頭が足りないのか?そして曾孫のトウマはアオイの事を暴露してしまった。だが自分はなんて非力なのだ。


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