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アンドロイド転生421

葛飾区:カガミソウタの邸宅

深夜1時半過ぎである。ソウタは夜食のピザを完食し満足していた。炭酸水をゴクゴクと飲んで派手にゲップをした。ソウタと恋人のスミレは宙空を見上げていた。イヴの美しい顔が微笑む。

その隣には顔を青くして顎を震わせるイタリア人ハッカーのカルロの立体画像が浮かんでいた。頭脳にも容姿にも恵まれた彼はずっと人生の勝ち組だった。だが今は生気がなかった、

カルロは友人のアントニオの頼みでソウタを突き止めようとしたものの、呆気なく打ち負かされた。AIのイヴに自身のフェイク動画を作られ脅迫されたのだ。ハッカーも形無しだった。

彼は保身の為にイヴの指示通りに動いた。そうしなければ、自分の命はなかっただろう。マフィアを敵にして無事では済まない。未来を失うわけにはいかなかった。
 
イヴの指示とはこうだ。アライブ(ソウタ)を発見したと嘘をつかせ、その詳細をイタリアマフィアのルチアーノ家に送らせた。勿論、アライブのプロフィールは全て虚偽である。

イヴは最後にカルロに告げた。
『あなたは今までハッカーとして人を陥れました。自分が窮地になって身に沁みたでしょう?これから清廉潔白に生きて下さい』
カルロは青い顔をして悔しそうに頷いた。

ソウタは拍手した。スミレも倣う。
「凄い、凄い。イヴちゃん、やるぅ〜!マフィアもビックリの脅迫だよ!」
『有難う御座います』

ソウタの瞳は輝いた。
「アライブを見つけたって言う案はなかなかだよ!これでジョゼフ君は勝ったと思って喜ぶな!でも甘〜い!全部デタラメだ!」

彼は直ぐに腕を組んで神妙な顔をした。
「それにしてもイヴちゃんは凄いなぁ。ワン兄弟もカルロもコロリだよ!」
『人間は欲の塊ですからね』

ソウタはニヤリとした。
「ホントだよな〜!さあてと!いよいよ!大詰めだぞ〜!ワン兄弟は爆弾を買うって言って契約書にサインしたし、後はジョゼフ君にオッケーをさせればバッチリだ〜!」

イヴは微笑む。
『はい。プランAが間もなく完成しますね』
ソウタは舌舐めずりをする。
「ジョゼフ君ちにアクセスするぞ〜!」

ソウタはルチアーノ家の執事アンドロイドの視覚と聴覚をハッキングした。ジョゼフと弟と息子。3人は覗かれている事に気付かない。さて?どんな様子だ…?ソウタの瞳は煌めいた。

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