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アンドロイド転生365

東京都葛飾区:カガミソウタの邸宅

14年前。イタリアマフィアの爆弾取引を壊したソウタはそれだけでは飽き足らず、自分が仕組んだのだと公表した。有名な黒いネズミの可愛らしいキャラクターで世界中にアピールをした。

マフィアを小馬鹿にするような所業にジョゼフは怒り心頭だった。ソウタを見つけ出すのだと躍起になった。ルチアーノのコンピュータプロ集団とAIは総力を上げた。とうとうソウタの尻尾を掴んだ。

だが、運が彼に味方した。危機一髪でソウタは難を逃れた。21歳の怖いもの知らずでも流石に命の危険を感じた。それからはソウタは諸外国を相手に危ない橋を渡るのはやめた。

それでも危険な事は彼にとって魅惑だった。天才的なハッカーの彼は小さな日本の自分の城で王様だった。コンピュータを操るだけで世界を掌握出来る気がしたのだ。

何か楽しい事。ワクワクする事。自分が出向かないでも椅子に座っているだけでターゲットが右往左往する。愉快であった。だから危険を感じても綱渡りはやめられなかった。

バイヤーをして10年。日本で細々と金品強奪の片棒を担ぐ。それでも利益は莫大だ。だがソウタにとって金はどうでも良かった。危ない事が魅力で、コンピュータが彼の世界なのだ。

イタリアマフィアの取引を壊して14年。35歳のソウタの今の全ては、秘密基地と呼ぶソウタの城だ。コンピュータパネルが所狭しと立ち上がる室内。この場所が砦なのだ。

イタリアの前にはブラジルの麻薬組織を壊滅した。18歳の時だった。ブラジル政府はソウタをVIP扱いで本国への移住を願った。ソウタは断った。他所の国で暮らすなんて面倒だった。

人間関係なんて面倒臭い。人間の女なんて更に面倒臭い。勝ち気で生意気で我儘で寂しがり屋で甘ったれ。そして金が好き。そんな女のご機嫌伺いなど真平だった。

アンドロイドで恋人の愛らしいスミレがいればソウタは満足だった。10年前から一緒に暮らしていた。彼女の作った食事をし共に寝ていた。マシンがこんなにも心安らぐものだとは思わなかった。

スミレは否定せず、ソウタを応援し、適切にアドバイスをしてくれる。彼にとって心の拠り所なのだ。だから今日も聞いてみよう。きっと良い事を言ってくれるだろう。

ソウタはスミレを見やった。
「ねぇ。どうやったらジョゼフ君は会ってくれるかなぁ?」
「優しくするか脅すかのどちらかですね」

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