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アンドロイド転生307

東京都品川区:スオウトシキの邸宅

暴力団組織のスオウ会総裁のスオウトシキは何者かに資産を奪われ根深い恨みがあった。やっと情報を掴んだ。何がなんでも押し入った輩を見つけてやる。息子に追わせよう。

間もなく息子のマサヤがやって来た。
「うちの金品を奪ったのはTEラボらしい。職員を調べろ。廃棄したと見せかけてマシンを利用している奴がいる。徹底的に洗い出せ」
「はい」

執事アンドロイドが一歩前に出た。
「お待ち下さい。ウェブ内を情報が錯綜しています。ランドラボの他、何十社ものマシンラボの名前が上がっています。尤もらしいアンドロイドのスペックを述べています」

スオウは鼻で笑った。
「どうやら、敵も気付いたようだ。わざと撹乱しているんだろう」
彼の嗅覚はTEラボが怪しいと訴えている。キリの策略も海千山千のスオウには効かなかった。

息子のマサヤを見やった。
「まずTEラボの職員を調べろ。行け」
「はい」
マサヤは頭を下げると部屋から出て行った。

廊下に出たマサヤはスマートリングを立ち上げてコールした。相手は舎弟のミヤザワだ。
「スパイに合うタイプを2体用意しろ」
「分かりました」

ミヤザワは新宿歌舞伎町のクラブにいた。地下のアンドロイドの保管部屋に行く。マシンが8体いる。椅子に座り充電していた。彼らは戦闘用マシンだ。全ての技がインストールされている。

週に一度クラブに対戦相手がやって来てどちらかが機能停止になるまで戦うのだ。多くの観客が訪れ莫大な金が動く。それが組の資金になる。ミヤザワは鼻で笑った。人間ってヤツは残酷だよな。

いや。実際のところ観客達は人間同士の死闘が見たいのだ。古来から人は暴力に浮かれるらしい。だが平和な日本ではバトルする人間などいない。だからアンドロイドで我慢しているのだ。

ミヤザワはアンドロイドを眺めた。
「スパイに合うヤツだってさ」
身体が大きいヤツは不向きだろう。細身で人間にとって好ましいタイプが良い。

ミヤザワは目を走らせると頷いた。
「アラン。ローガン。立て」
「はい」
白人モデルの2体が立ち上がった。

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