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アンドロイド転生568

東京都渋谷区:フェスの会場

桜並木。人混みの中を6人の少年少女と1人のアンドロイドのエリカは歩いていた。リツから3時間の猶予を貰ったものの、楽しい気持ちは潮が引くように消えていた。

モネは立ち止まってルイの腕を掴んだ。
「ねぇ?私達が付き合ってるのってそんなにいけない事なの?ルイのお父さんは私の事を反対してるの?あんなに優しかったのに」

そう。私はルイの父親と会った事がある。凄くカッコ良かった。精子バンクで誕生した自分にとって父と言う存在は羨ましかった。
「ねぇ?前に聞いた事と何か関係があるの?」

ルイは以前モネに告白していた。自分の先祖は1000年以上も前の平家の落人であり、閉鎖的な村で育ち都会とは付き合いがない。だから学校も携帯電話も知らないと。勇気の告白だった。

ルイは頷いた。
「皆んなこっちに来てくれ」
人混みの輪から外れた。それでも混雑していた。まぁ、話す場所はどこでも良い。

「俺達が住むところは茨城県と福島県の県境の小さな村なんだ。ずっと少数で暮らしていて村の人は都会の事を何も知らない。俺らもそうだ。だからケータイとか持ってない」

ルイはひたとモネを見つめた。
「で…何でだか知らないけど…大人達は都会の人達と仲良くしたくないんだ。掟なんだ」
少女達は戸惑いながら顔を見合わせた。

「だから…モネとは別れたって事になってて、今まで4回こっちに来たけど、親には内緒なんだ。エリカがこっそり連れて来てくれたんだ」
エリカが頷いた。

ルイは舌打ちをした。
「まさか…今日さ…こんなに人が一杯いるのにアリス達と会うとは思わなかった。リツはさ…大人だし…親の味方をするよ。仕方ないな」

モネは悲しそうな顔をした。
「ルイと私の事は…内緒なのね…。知ったら反対されるのね」
ルイは悔しそうに頷いた。

モネの友人のニナが怒りに頬を染めた。
「そんなのおかしいよ!親が勝手に決めてるんでしょ?それを子供だから従えって事?自由の権利はあるよ!誰だって」

ルイはハッとした。
「そ、そうだよな。俺達は自由なんだよな!」
カナタは不安そうな顔をした。
「でもよぉ。ルイはまだガキじゃんか」

ヤマトは悔しそうな顔した。
「そうだよ。きっと言うぜ?ガキなんだから、親の言う事を聞けってさ」
そう。ルイはまだ15歳なのだ。


※モネとルイの父親が出会ったシーンです

※ルイがモネに家庭環境を告白したシーンです


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