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アンドロイド転生597
白水村の集落:リペア室
リョウはコンピュータホログラムを立ち上げてアンドロイドの内部構造の研究に精を出していた。扉がスライドしてエリカが入って来た。
「リョウ。元気?」
柔かなエリカを見てリョウは気分が悪くなる。
「な、なんだよ」
エリカには脅迫された経験があるのだ。片想いの女性の入浴を盗撮した事が暴かれた。
エリカはニッコリとする。
「どう?入浴姿はばっちり?」
リョウの頬が強張った。
「も、もう…盗撮なんてしてねぇよ!」
リョウとエリカには因縁があった。今から数年前のこと。ナニーアンドロイドのサツキは契約期間の満了で廃棄される運命だった。だがアオイは親友の彼女を救おうとしていた。
それを知ったエリカはラボに密告した。アオイとサツキの死を望んだのだ。だが2人はラボの攻撃から逃れホームに無事に戻って来た。サツキは家族の一員になったのだ。
リョウは一連の逃走劇を調べて、密告をしたのがエリカだと突き止めた。リョウは不思議でならなかった。何故?どうして?エリカを追及した。だが彼女は怯む事なくリョウを脅した。
リョウは密告について目を瞑る事を約束した。そして何に使うか不明だが盗撮器まで作らされたのだ。呆れる思いだ。それからはエリカと極力関わらないようにしている。
エリカは嬉しそうな顔をする。
「ね?今からアオイとサツキをメンテして」
リョウは眉根を寄せた。
「は?何でだよ?」
エリカはプラプラと室内を歩く。
「アオイ達には気絶していてもらいたいの」
「そんな…いきなりメンテだなんておかしいじゃないか。キリになんて言うんだよ?」
エリカは振り向いて微笑む。
「それはリョウが考えて。頭いいんでしょ?」
「時と場合がある。無理だよ」
「盗撮した事がバレてもいいの?」
リョウは言葉に詰まった。憎々しげにエリカを見つめる。くそっ。くそマシンめ。エリカの美しい顔が悪魔のように思えてくる。また俺は脅されるのか。人間がマシンに負けるなんて。畜生…。
こうなったらエリカを一生気絶させてやろうか。エリカはじっとリョウを見つめて不敵に笑った。
「あ。私を気絶させようと思ったでしょ?」
リョウエリカの勘の良さに驚いた。
エリカはにっこりとする。
「そんな事をしたらイヴがアンタの罪を暴露するよ。皆んなにバレるよ。変態だって」
リョウは舌打ちする。このクソマシンめ…!
エリカはほくそ笑む。
「じゃ。今直ぐにお願いね。アオイ達はキッチンにいるよ。さぁ、早く立って」
エリカは悠然と歩み去った。
リョウの顔は強張る。マシンが命令するな!腹が立って仕方がないがやむ得ない。従うしかないのだ。リョウは無言で立ち上がるとリペア室を出てキッチンに向かった。
※エリカが密告したシーンです
※リョウが密告に気付いたシーンです
※エリカがリョウを脅したシーンです
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