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アンドロイド転生390

イタリアナポリ:ジョゼフ・ルチアーノの邸宅

ジョゼフの目前でネズミがジャンプをする。ルチアーノの爆弾を売れと言うのだ。
『お客は中国の蛇頭のワン兄弟だよ!』
ジョゼフは眉を上げた。

ワン兄弟?それは誰でも知っている。中国マフィアの中でも最大勢力を誇る、トップの2人だ。残忍で冷酷。何でもアリの蛇頭だ。そうか。彼らがうちの客になるのか。よし。もっと詳しく調べよう。

ジョゼフは執事アンドロイドに指示をした。
「ワン兄弟を調べろ」
「はい」
直ぐに2人の詳細がジョゼフの目の前に浮かんだ。

兄のイーチェン。弟のハオラン。立体画像には自信に溢れる男達の顔が浮かんだ。表向きも裏稼業も一連がズラリと並んだ。手広く仕事をしている。まだ若い兄弟だ。度胸もあれば根性もある。

ジョゼフは顎を摩り、満足げに頷いた。潤沢な資産を持ち軍事力も高い。アジア全土の顔だ。顧客としては悪くない。今後も爆弾の買い手として繋がりが持てるならルチアーノ家も潤うだろう。

ネズミは手を後ろに組み、片足をブラブラさせている。いかにも退屈を表しているかの様だ。
『ルチアーノさん。色々と考えがあるかも知んないけどさ?僕は紳士だから信じてよ』

「紳士が娘と孫を襲うのか」
『ごめんよ。ごめん。じゃあ、1時間後。また来ま〜す!よぉ〜く考えてね!』
ネズミのホログラムが消えた。

ジョゼフはこめかみを叩いた。どうしたものかと思案する。執事に顔を向けた。
「ベルナルドとアントニオを呼べ」
ベルナルドは弟。アントニオは息子だ。

間もなく彼らがやって来た。ジョゼフが事の顛末を伝えると、ベルナルドは怒りを露わに椅子を床に何度も叩きつけて粉々にした。息を荒げて叫ぶ。
「くそハッカーの野郎!」

アントニオは頬を紅潮させた。
「姉さんを人質にしやがって!何が何でも調べてやる!。父さん!カルロにやらせよう!」
「カルロ?誰だ?」

アントニオはリビングを行きつ戻りした。
「俺の大学時代からのダチだよ!恐ろしく頭が良くてハッカーなんだ。アイツなら絶対にアライブを見つけ出す!」

ジョゼフは鼻を鳴らした。
「うちのAIが負けたんだ。人間に何が出来る?」
「AIなんてチョロいってよく言ってるぜ?カルロならやる。アイツは天才だぞ」

ジョゼフの瞳が期待に輝いた。
「よし。頼んでみろ。上手くいったら謝礼はたんまりすると言え」
アントニオは自信ありげに頷いた。

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