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アンドロイド転生394
新宿区歌舞伎町:クラブ夢幻
店内ではアンドロイドが戦いを繰り広げている。スオウマサヤのマシンが5体。ホームのマシンは7体。其々の場所で生死を賭けた一本勝負だ。人間達は戦いの渦の中にいた。
店内には肉がぶつかる音。ガラスが割れる音。そして人々の悲鳴が響いた。強靭な身体のアンドロイドの戦闘に巻き込まれた人間達は一溜まりもなかった。次々に負傷し犠牲となった。
元々ドラッグや酒で思考力も身体能力も低下している連中なのだ。右往左往するばかりだった。それでも何人かは警察に連絡をした。泣いて大騒ぎして、呂律が回らなかった。
警察では酔った上の悪戯だと判断して、現場に駆け付ける事はなかった。元来平和な日本では事件も事故も起こらない。警察とは名ばかりで危機管理能力の低い組織だったのだ。
事務所に籠城していたマサヤの胸ぐらを男が掴んだ。彼の取り巻きの1人だった。
「おい!何とかしろよ!オマエがマシンに命令したからこんな事になったんだぞ!」
マサヤは男の腕を振り解いた。
「ウルセェ!オマエだって喜んでたじゃねぇか!」
「なんだと⁈」
男は眉を釣り上げた。2人は殴り合いになった。
美しい女の顔が恐怖と怒りで歪んだ。
「マサヤがマシンと一緒に行けばいいんだ!迎えに来たって言ってた!」
「そうよ!マサヤが行けばイイ!」
取り巻きとは名ばかりで実際のところ、マサヤに友人など1人もいなかった。スオウグループという権力の元に皆が集っていただけなのだ。彼らは憎々しげにマサヤを睨んだ。
別の男が警察に連絡をした。
「助けて下さい!マシンが人を殺してます!」
『あなたねぇ?酔った上の悪戯にしては度が過ぎてるよ?家に帰りなさい』
アンドロイドが殺人を犯すなど有り得ないのだ。そんな事は想定外だ。もしそのような事態になっても禁止機構で自滅する。だから若者の虚言だとして警官は取り合わなかった。
マシン達は自滅しなかった。人間を討つのではない。あくまでもマシン同士の戦いで、マサヤの命令に従ったまでなのだ。ルークらは自己防衛の為である。そこにたまたま人間がいるだけだ。
男は必死になった。
「本当です!本当なんです!」
警官は欠伸をした。
『じゃあ、現場を動画で撮って送ってよ。本当だったら行くよ』
男は何度も頷いた。通話を切ると、殴り合って鼻血を出し、しゃがみ込んでいるマサヤの前に立った。
「おい!動画を撮ってこい!」
「う、うるせぇ…」
マサヤの顔が恐怖で歪んだ。動画など撮れるわけがない。戦闘に巻き込まれて命がないかもしれないのだ。そんな場所に俺が行けと言うのか?何が何でも動くつもりはなかった。
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