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アンドロイド転生367

首都高速道路

タケルの車とエリカの乗るバイクは高速道路の分岐でルークとミオの車輌と別れた。これからタケル達はスオウトシキの邸宅に向かう。屋敷を襲い、スオウを拉致するのだ。

タケルの内側にイヴの声が響いた。
『人工衛星カメラを精査しました。スオウトシキ邸には庭に4体のアンドロイドが警備しています。犬はおりません』
「分かった」

首都高速を降りて一般道を走る。東京都品川区の住宅街にやってきた。間もなく目的地である。タケルは車内を見渡した。無表情の戦闘用マシンが5体。自分とエリカを含めれば余裕で勝利するだろう。

スオウの屋敷の近くに車が静かに停まった。エリカのバイクも停車する。タケルは降りてマシンに号令を掛けた。5体は速やかに車外に出た。タケルは全員と通信で会話する。事は動き出した。

月夜の中。野生の獣の様にタケル達はしなやかに塀を乗り越えた。音もなく庭を走る。1体の警備アンドロイドの背後にホームのマシンが忍び寄った。だが敵を悟った警備員の口から警告音が鳴った。

他の警備員がやって来る。戦いが始まった。庭やテラスで其々が攻防を繰り広げた。4体と7体では圧倒的にタケル達に分があると思われた。だが警備員はファイトクラブ仕様の戦闘用マシンだった。1体を倒すも、2体が敗退する。

タケルの傍でエリカが叫んだ。警備員に首を羽交締めにされている。エリカは逃れようと警備員の腕を掴んだ。だが脚が宙を掻く。タケルは警備員の背後に周り込み、背を駆けた。素早い動きで首に脚を回すとエリカ諸共なぎ倒した。

その衝撃で警備員の腕から外れたエリカが転がっていく。エリカはすかさず立ち上がり、太腿に装着していたテイザー銃を敵に放った。ワイヤーが胸に刺さる。高圧電流が流れ警備員は瀕死の魚のようにバタバタと身体を動かし倒れた。

危険を知った当主のスオウトシキは妻のミナコと共にいた。執事のヒロトが窓の外を伺う。
「旦那様。奥様。ご安心下さい。警備員が必ず敵を制圧します」
「トミナガを呼べ!」
「はい」

トミナガとはスオウの側近で人間だ。トミナガを呼べとはスオウ組の舎弟に号令を掛けろと言う事だ。アンドロイドに人間は討てない。自分を守る盾になってもらうつもりだった。

ヒロトは直ぐにトミナガに連絡をした。
「旦那様、5分で到着するとの事です」
「よし」
スオウは頷いた。

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