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アンドロイド転生427

港区白金:スオウソラのマンション

アオイ達はボディガードを倒した。いよいよソラを誘拐する。プランBを立てるのだ。アオイはチアキを追って室内に足を踏み入れた。リビングでは執事アンドロイドが床に転がっていた。

チアキが倒したのだろう。アオイは腕を持って引っ張るとキッチンの陰に隠した。子供のソラに見せるわけにはいかない。
「もう!チアキはやり過ぎ…!」

この家にいるのはあとはナニーとソラだ。母親のクレハは不在だった。これは大変好都合である。事はすんなりと運ぶだろう。まさか歌舞伎町のクラブにいるとは思いもしなかった。

アオイは広々とした室内を見渡した。放熱を探知し開いてる扉の前に行った。覗き込むとチアキの後ろ姿が見え、その奥にはナニーアンドロイドが子供を抱き締めてベッドに座っていた。

ナニーがアオイの姿も見て怯える。
「あなた達は何者ですか?」 
チアキがナニーに射るような眼差しを向けた。
「子供を迎えに来たの。父親の指示よ」

ナニーはチアキを見上げた。唇が引き締まった。
「私は信じません。警察に通報しました。間もなく到着するでしょう」
「そうかな?うちには優秀なAIがいるよ」

ナニーは眉間に皺を寄せた。
「どう言う意味ですか?」
「警察は来ると思う?誤報だって伝えたのに?」
イヴが守備良く事を成したのだ。

ナニーは笑った。
「私のIDを登録しています。警察は騙されません」
「だからうちのは優秀だって言ったでしょ。あなたのIDなんてお見通しよ」
ナニーは目を丸くした。

チアキはナニーの腕を掴み、引っ張り上げた。彼女はなす術もなくチアキに羽交締めにされる。反撃してこない。どうやら彼女は柔術をインストールされていない様子だ。

チアキはそのままナニーを廊下に連れ出す。スオウソラが立ち上がり、ナニーに向かって慌てて手を伸ばした。不安そうな顔をして叫んだ。
「メグ!メグ!」

メグは振り返って微笑んだ。
「大丈夫ですよ」
アオイはソラの目線に腰を下ろした。
「今晩は。ソラ君」

パジャマ姿の10歳の少年。スオウトシキの次男だ。愛らしい顔立ち。何の邪気もなさそうだ。賢そうな利発的な目をしている。父親のスオウは嘸かし可愛がっているだろう。

スオウとの取引に使う為にこれから拉致するのだ。アオイはソラに詫びる。
「ごめんね。でも絶対にあなたを傷付けたりしないからね。大丈夫だからね」

ソラは唇を震わせ廊下を見やった。
「メ、メグは…?」
アオイは優しく微笑む。
「メグも虐めたりしないよ。大丈夫」

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