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アンドロイド転生516
銀座:ホテルペニンシュラ
ヒカリは目を丸くした。
「妹?」
「ええ。私と同じ日に誕生した同モデルの女性型でした。双子の妹のようなものです」
ゲンはリツを指差した。
「彼の仲間はね。妹にティザー銃を撃ったんです。レイラは5万ボルトの電気を全身に浴びて苦しみながら死にました。可哀想に…」
ヒカリは口元に手を当てて悲しげな顔をした。
「酷い…」
ゲンは頭を振って溜息をついた。
「全く罪な事をするものです」
リツはゲンを睨みつけた。
「ちゃんと説明をしろよ。妹がその前にミオに何をしたかを。半殺しにしたじゃないか」
身体は換えねばならない程の損傷だった。
ゲンは当たり前のような顔をした。
「ええ。主人のマサヤに倒せと命令されましたからね。レイラは抗えません」
自我の芽生えたゲンは戦闘に参加しなかった。
リツはゲンの被害者面に怒りを覚えた。身体が熱くなってくる。いや、怒りだけではない。室内が暑いのだ。リツはジャケットを脱いだ。周囲の人々は興味津々でリツを見ていた。
リツはイライラと頭を振った。
「それよりゲン。なんて事をしてくれたんだ?早く立て。俺と来い。ミオのウィルスを外すんだ。命令だぞ。俺は人間だ」
ゲンは馬鹿にしたように微笑んだ。
「おやおや。人間様。残念ながらあなたは主人ではありません。主従関係はないのです。何でも思い通りになると思ったら大間違いです」
リツは舌打ちをした。ソウタの言う通りだ。ゲンは命令を聞かないと。一筋縄ではいかないと。だが引き下がるわけにはいかないのだ。ミオの命が掛かっている。タイムリミットがあるのだ。
リツは頭を下げた。
「分かった。では命令じゃなくて、お願いをする。頼む。ミオを助けてくれ。あの子は家族なんだ。大事な妹だ。失いたくない」
ゲンは小首を傾けた。
「ウィルスは一旦デリートしたんですか?それがクラウドよりも上層階のヘブンから再度落とされましたか?カウントダウンしてますか?」
リツが頷くとゲンは残念そうな顔をした。
「コピーされたんですね。では変異をしたでしょう?そうなるともう私の手には負えません。残念ながら諦めて下さい」
リツは呆然となった。するとリツのスマートリングからコール音が鳴った。そのメロディはアリスだ。焦れて連絡をしてきたのだろう。だがリツは無視をした。今はそれどころじゃない。
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