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アンドロイド転生571
東京都目黒区:ショッピングモール
「桜の時期だからピンクのドレスだなんて、タケルさんはやっぱりセンスがイイ!」
買い物にやって来たタケルとエマはあれこれと店を回り試着して選んだ。
エマは背が高くほっそりとしている。性に奔放で口にする事は大胆だが、所作に品があり何でも美しく着こなせた。特にピンクのドレスが映えた。淡い色合いで桜をイメージしているそうだ。
エマは満足げにタケルの腕に腕を絡めて歩く。彼女は何かというとすぐに触れたり身体を密着させる。それでも不快な感じはしなかった。エマの輝くばかりの笑顔は嬉しかった。
カフェでひと休みをした。タケルは純水。エマはアイスコーヒーを注文する。給仕アンドロイドがエマの手元に置く寸前に彼女は振り向いて給仕の手とぶつかり、グラスが倒れた。
エマの胸元から太腿にかけて大量に掛かった。
「申し訳御座いません!」
エマは微笑んだ。
「イイの。イイの。私が悪いの」
他の給仕がやって来てタオルで拭った。
「クリーニング代をお支払いします」
「気にしないで。拭けば大丈夫。それよりもホットじゃなくて良かった!アイスでラッキー」
水とタオルであらかた拭き取ったものの白い服はシミだらけになってしまった。エマは笑っていた。アンドロイドに対して怒りを露わにする人間もいる中で、この心の余裕は好ましい。
「ねぇ!見て!日本みたい!」
エマの白い上下の服は、成程よく見ると胸元から脚にかけてシミの跡が日本地図だ。
「ここが東京ね?」
エマは局部を指す。タケルは呆れつつもエマのあっけらかんとした言葉に思わず笑った。エマの性に奔放な様子は潔いとも言えよう。
「タケルさんが笑った!嬉しい!」
エマは座るとタケルの手を掴んだ。
「手相を見てあげる。あ!新しい出会いの相が出てる。なに?なに?恋愛運がバッチリ!」
エマの笑顔を見てタケルは可愛いと思った。
カフェを出てゲームコーナーに向かった。
「写真を撮ろうよ!ね?イイでしょ?」
タケルは苦笑する。すっかりエマのペースだ。でも、なんだか楽しかった。
写真ブースに行くとペイを払う。ゴルフボールサイズの球が浮かびクルクルと2人の周囲を飛び回った。間もなくスマートリングに同期され、立体画像の彼らが浮かび上がった。
「タケルさん!カッコイイ!」
タケルは自分を見て驚いた。笑っている。俺はこんな顔をするのか。エマの顔も喜びに溢れて、まるで幸せそうなカップルに見えた。
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