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アンドロイド転生328

東京都某所:スオウマサヤの寝室

「こいつは何だ?」
マサヤは画像を巻き戻してルークを見つめた。戦士のアラン達を倒すマシンなど信じられない。そんなアンドロイドを誰が造ったのだ?

マサヤはルークの事を12年前に父親のスオウトシキが所有していたアンドロイドだとは知らなかった。ルークはスオウが経営するファイトクラブの11連勝の猛者だった。

ある日、スオウビルからストリッパーのミオと共に逃亡したのだ。だが街を彷徨ったものの2人は警告音に苦しみ、逃げきれない事を悟ってTEラボに戻る決意をした。廃棄は覚悟の上だった。

2人は茨城県にやって来た。そこでトワに救われ、キリ達の集落で暮らすようになった。2人はマシンでありながらも互いに愛情が芽生えた。ホームで平和と生きる喜びを知った。

マサヤはギラギラとした目で立体画像を見つめた。このクソマシンめ…!絶対に叩き潰す!怒りが胸の内から湧いて来た。もう夜明けだが枕元のウィスキーをボトルのまま飲んだ。

父親からは今回の件を一任されている。何が何でも突き止めなくてはならない。認めてもらうチャンスなのだ。必ず我が家の金品を奪った輩に報復するのだ。一刻も早く。

マサヤの頬が強張った。
「ゲン、このクソマシンを調べろ。何でもいい。探すんだ。直ぐに。分かったな?」
『はい』

「おい。あともうひとつ。ダークウェブで奴らが奪ったうちの金品が取引されていた。必ずバイヤーがいる筈だ。そこも調べろ」
『はい』

スオウトシキが所持していた貴金属と絵画がダークウェブ内で売買された履歴をマサヤは見つけた。非合法で得た物品はやはり正規な取引はされないものだ。アンダーグラウンドに流れてしまった。

ゲンはアランとローガンを車に積んだ。アランは使い物にならないがローガンのメモリは無事だ。身体を新たに造り直せば彼は再度生きられるのだ。
『マサヤ様。ローガンはどうしますか?』

マサヤは何だと言わんばかりの顔をする。
「ローガンのメモリをスキャンして廃棄しろ」
『分かりました』
マサヤにとってアンドロイドは消耗品だ。

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