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アンドロイド転生327

東京都内某所:スオウマサヤの寝室

『マサヤ様。到着しました。アランは機能停止しています。テイザー銃で撃たれたようです。ローガンの身体も損傷していますがメモリは生きています。動画を送ります。確認して下さい』

アンドロイドのゲンは夜明けの空を背景にしてアランとローガンを映し出した。マサヤは寝室におりベッドでゲンの立体画像を観ていた。隣には昨晩知り合った女が眠っている。

数時間前にアランから報告があった。栃木県の山中で敵と対峙したと。マサヤは倒せと指示をした。だが敗北したらしい。ローガンから眼球を奪われ頚椎を折られたと報告を受けたのだ。

マサヤは驚いた。ファイトクラブの戦士が倒されただと?すぐにアンドロイドのゲンを現場に向かわせた。そして今、ゲンは現地から画像を送っている。2体のアンドロイドはボロボロだった。

マサヤは怒り心頭になった。
「くそっ!」
マサヤは眠る女の頭を叩いた。女は飛び起きた。
「何するのよっ⁈」

マサヤは女の細い首を掴んだ。
「うるせぇ!」
ギリギリと締め上げる。女の瞳が恐怖の色を帯びた。必死にマサヤの手を掴んだ。

マサヤは女を放り投げた。女はベッドから転がり落ちた。床に膝をつくと激しく咳をした。裸のまま服を掴むと寝室から飛び出した。彼にとって一晩の付き合いの女などどうでも良かった。

マサヤは一点を見つめギリギリと歯噛みした。悔しくてならなかった。朝には敵の本拠地が判明する筈だったのに…!なんで負けるんだ?
「クソ野郎…!」

アラン達がやられるとは信じられない。TEラボから回収した奴らはそんなに強いマシンを造ったのか?マサヤは知らないのだ。敵がルークであることを。そしてファイトクラブの猛者だった事も。

マサヤは一刻も早く事態を知りたかった。
「ゲン、ローガンのメモリは生きてるんだな?お前に繋いで今すぐ履歴を観せろ」
『分かりました』

直ぐにローガンの見た画像が立体となってマサヤの目の前に浮かんだ。アンドロイドが2体。白人男性と少年だった。マサヤは驚いた。男性はともかく少年モデルだ。こんな奴らに負けたのか?

戦いが映し出される。ローガンは少年を焼いて勝利したようだが男性モデルに返り討ちにされた。眼球を奪われ途中から画像は消えた。しかしローガンの聴覚は生きていた。

アランと敵が戦っている音が響く。間もなく車のエンジン音がした。アランを倒し、敵が去ったのだ。ローガンにとどめを刺さなかったところが甘い。何がなんでも追い詰めてやる!

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