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アンドロイド転生725

白水村:リペア室

リョウの告白にキリは驚いた。片想いのサキの裸体を盗撮したそうだ。同じ女性として羞恥と怒りを覚えた。それをエリカに知られバラすと脅迫されてやむ得ず彼女に協力をしたと言う。

リョウは恥ずかしくて穴に入りたい気持ちだった。だが悪事は暴かれるものだ。いつかこんな日が来ると覚悟していた。この際、キリに何もかも全てを打ち明けよう。

キリは眉間に皺を寄せた。
「何の協力?」
「最初は3年位前だ。アオイが…サツキを助けたろ?廃棄される前にラボで救うって言って」

「うん。あったね」
「でもラボに密告した奴がいただろ?それが…実は
エリカだ」
キリの目が驚きに見開かれた。

そう。アオイはチアキと共に親友のサツキを廃棄の運命から救う為にラボに向かった。職員は何故かサツキが逃亡する事を知っていた。だがギリギリのところで逃げ仰せてホームに帰還したのだ。

「エリカだって分かって…問い詰めたら反撃して来たんだ。盗撮の事をバラすって」
キリは顔を顰めた。
「エリカは…なんで密告なんてしたの?」

「アオイの事が嫌いなんだ。憎いらしい。だから…ラボに捕まって死ねば良いと…」
「し、死ねばって…な、なんで⁈」
「タケルの事が好きだから」

キリは目を丸くする。エリカがタケルを好いているのは承知だ。その想いは熱烈で誰もが知っている。そしてアオイに嫉妬して彼女を疎ましく思っている事も。だが死を望むまでとは驚きだ。

リョウはまた溜息をついた。
「アイツの想いは異常だよ。だから…今度は…ハスミエマを陥れた。エマはタケルの恋人だ」
「ハスミエマ?」

「ほら…1ヶ月位前に…ネットで騒いでたろ?ホムペでセフレ募集とか…乱行パーティの動画の流出とか…。仕舞いには親友の罪を暴露したって」
キリは思い当たる顔をした。

あの事件は大騒ぎだった。平和な世の中では滅多にない(クラブ夢幻の事故やリツの逮捕劇以来)一件だったのだ。キリの目が見開かれた。
「ま、まさか…あんたが操作したの⁈」

リョウは小さく頷いた。消え入りたい気持ちだった。脅されたとは言え、エマを傷つけた。それもあまりにも卑怯なやり方で。エリカの指示を拒否出来なかった。保身のために。

キリは勢い良く立ち上がった。
「馬鹿!馬鹿!ホントに大馬鹿野郎だよ!」
彼女の握り締めた拳が震えていた。
「最低だよ!リョウ!責任を取れ!」

リョウは項垂れて顔を覆った。
「ごめん…ごめんよ…」
「私に謝ってもらっても意味がない!」
「うん…でも…ごめん…」



※エリカが密告したシーンです


※サツキを救ったシーンです


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