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アンドロイド転生548

茨城県白水村の集落:リペア室

夜が明けた。鳥の囀りと小川の流れが清々しく希望の朝の始まりだった。だがリペア室の空気は重かった。ミオのウィルスプログラムはまだデリート出来ていなかった。

キリはコンピュータホログラムを睨んでいたが時折意識が飛んだ。一睡もしていないのだ。叔父のケンジと彼の息子のリョウは目を瞑り船を漕いでいる。顔に疲れが滲んでいた。

同じ頃。葛飾区の住宅の地下ではイヴに加勢をしているソウタの瞳が爛々としていた。夜型人間の彼にとってはまだまだ闘える余裕があった。スミレが淹れてきたコーヒーを飲んだ。

「くそ〜。ちょこっと変異しただけで、厄介だなぁ…。デリート出来ないじゃん」
イヴからオリジナルウィルスを渡され、それに変異を加えパターン知ろうとした。敵は手強かった。

リペア室では、ミオを囲み8人のアンドロイドがいた。其々がウィルスプログラムと格闘していた。疲れを知らないマシンならではで、いっときも休んではいなかった。だが光明が見出せない。

アオイは溜息をつく。ウィルスプログラムは48時間からカウントダウンが始まった。残り30時間だ。ゼロになった時、データが解凍しウィルスが発動される。どんな事態になるのかは不明だ。

ミオは念願の少女から大人に変わり希望の生を歩む筈だった。それなのになんて恐ろしい事になったのか。アオイはミオを見つめた。美しい姿。笑顔が見たい。どんなにか素敵だろう。

何とかウィルスを止めたくて、タケルはゲンを追ったものの変異したデータはゲンの手から離れてしまった。もう彼にも手出しが出来ないのだ。自分達がやり遂げるしかない。

イヴの瞳が煌めいた。
『皆さん。突破口を見つけました』
キリもケンジもリョウも意識を取り戻した。睡眠欲も抗える程の希望の言葉だ。

ルークの言葉が震えた。
「ほ、本当か?本当なのか?」
ルークはミオの恋人だ。心配は計り知れなかった。ミオとイヴを交互に何度も見つめた。

人間は手を止め、アンドロイドは微動だりしなかった。ミオは助かるのか?本当に?
『はい。アルゴリズムをカガミソウタさんに示しました。彼と共に処理します』

イヴは微笑んだ。
『計算するとあと1時間24分で問題が解決します。ウィルスプログラムをデリートします』
室内は歓声に包まれた。ミオは助かるのだ。

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