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-Vol.02-選手名鑑の掲載情報の時代変化~昔は選手の住所も載っていた!?<32年分の選手名鑑から平成とプロ野球選手を読み解く>

筆者が一年一年購入してきた『日刊スポーツプロ野球選手写真名鑑』32年分、32冊から、様々なデータを解析、紹介するnoteのVol.02。

紹介記事の第一弾ということで、選手名鑑を知らない人ものためにも、プロ野球の選手名鑑には、選手に関してどのような内容が掲載されているのかを、その歴史とともに紹介したい。

平成年間で掲載内容は大きく変化しており、時代の流れを感じる。

現在の掲載内容の多くは、インターネット上で無料で見ることのできるものである。それでも何故プロ野球選手写真名鑑は人気なのか。その辺りも記述したい。

なお断りなく“選手名鑑”と記述しているものは、一般名称としてのプロ野球選手の選手名鑑を指し、“プロ野球選手名写真名鑑”と記述しているものは、私の大好きな『日刊スポーツ選手写真名鑑』のことを指すように記述している。そんなに意識せずとも読み進められるとは思うがご承知いただきたい。

なぜ筆者がこのようなシリーズでnoteを書いているか、詳細は下記の自己紹介の記事も読んでみてもらえるとありがたい。

本記事の内容は下記の目次の通りであり、途中より有料記事となっている事はご留意頂きたい。

○2020年日刊スポーツプロ野球選手写真名鑑の掲載情報 

最新の2020年(令和2年)のプロ野球選手写真名鑑の選手に関する部分に掲載されているのは、

名前・登録名
背番号
出身地
誕生日
年齢
身長・体重
利き腕・打席
①出身校と経歴
②ドラフト年度順位
③公式戦初登板初出場
④FA資格
⑤今季年俸←昨季年俸(新人は契約金)
⑥家族(既婚or独身)
⑦血液型
⑧獲得タイトルとその年度
⑨寸評
前年成績と通算成績

となっている。
イラストで選手掲載を表してみると、下記のような感じだ。

画像1

このような感じで選手個人の情報が、4名/1ページで掲載されている。

○インターネットで無料で見ることができる情報が、何故、本として販売されているのか。

これらの選手に関する情報はそのすべてがインターネット上で見ることができる。
それこそ日刊スポーツ社も自社サイト上で「選手名鑑」として全く同じ内容を各選手毎に掲載しているのだ。
それでは何故本としてわざわざ販売されているのか?

それの答えは“売れるから”となるだろう。

それでは問いは“誰が買っているのか”になる。

これについては、完全に筆者の推測となるが、購入しているのはインターネットにそんなにアクセスしない高齢世代や、まさに、筆者のように昔から買っている人ではないかと推測する。
なので未来は明るくない。

そんな気はしている。

○選手名鑑の役割と、筆者が選手名鑑を購入する理由

何を隠そうインターネット普及以前は、プロ野球観戦には選手名鑑が必須だった。
活躍した選手がいたら選手名鑑で調べる、知らない選手が出てきた選手名鑑で調べる、去年の成績が気になったら選手名鑑で調べる。
これしか方法がなかった。

ちなみに販売されている選手名鑑がポケットサイズが多いのも球場にも持っていけるようにである。

この大前提の使用方法がインターネットの誕生で無くなったことにより、選手名鑑は窮地に立たされた。
(売上部数は公表されていないので、窮地にいるかどうか、本当の所は筆者にはわからない。)

それでも筆者はプロ野球選手名鑑を購入し続けている。
その理由は
1)可読性は本の方が断然優れている。
手軽に手に取れる。スマホの登場で若干この優位性は危なくなっているが、筆者はやっぱり紙派だ。

2)情報がまとまっている
可読性と近いが、インターネット上の無料情報とは違い、選手名鑑は過去の情報や歴代の記録、そのほか様々な情報がまとまっていて見やすい。

3)受動的に情報を吸収できる
本では色々な情報に受動的に触れられるので野球雑学に強くなる。インターネット上では阪神ファンはわざわざ巨人の選手情報を見に行かないだろうし、ちゃんと検索しないとたどり着けない情報だってたくさんある。

4)本の情報は、消えない
インターネット上の情報は消える可能性があるし、古くなればなるほど見つかり辛くなる。プロ野球選手の情報はNPBの公式サイトなどで過去の選手も見られると思われるかもしれないが、それらには一軍公式戦未出場の選手は詳細は掲載が無かったり、ひっそり消えていく情報は多い。
その他、連続安打記録や通算本塁打10傑など、上書きされていく情報は、ある時点での情報などは、本の方が断然調べやすいであろう。

5)収集魂をくすぐる
筆者だけでは無いと思うが、一年に一度の発売は、収集魂が高鳴る要素である。更に形も内容も大きく変わらない事も収集ポイントとしては高い。

いかがであろうか。
本には本の良さがある。

良さを伝えるのはなかなか難しい。

○余談 ~平成年間でのインターネットの発達~

余談になるが、平成年間はインターネット発達の年代であり、インターネットの出現により様々なものが変化した。
下記は、総務省の通信利用動向調査より、筆者が作成した「インターネット利用者」の割合推移と、「所有する情報通信機器の保有状況」の2010年(平成22年)以降の割合推移である。

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インターネット利用状況を見ると、最も古いデータである1997年(平成9年)で9.2%2004年(平成15年)で66%2019年(平成31年)で89.8%と平成中期以降で一気に国民に普及していったことがわかる。

そしてスマホ保有率も2010年(平成22年)は9.7%であったが、2019年(平成31年)は83.4%と、10年で一気に普及した。
逆にパソコンの保有率は減少を続けており、インターネットはスマホのみで見るという人も増えていると推測される。

インターネット出現前は、当日のプロ野球の結果が気になっても、夜のスポーツニュースを見逃せば、朝来る新聞を頼るしかなかった。
朝、いの一番に新聞を取りに行き、スポーツ面を開いて結果を見て一喜一憂する、という事も当たり前だった。

スマホ出現前は、当日のプロ野球の結果が気になったら、パソコンの前に座り、中々起動しないパソコンにイラつきながらも、結果を確認するという感じだったろうか。

そしてスマホ出現後、当日のプロ野球の結果が気になったら、パッパッである。

たった20年でこうなった。便利になった。

ただ、何かを失った。

筆者が子供の頃、父がスポーツ新聞を買ってくれば、穴の開くまで結果や打撃成績、投手成績などを眺めたものだ。
毎日確認する一般紙の朝刊では、贔屓のチームの試合が写真付きで掲載されただけでも嬉しかった。
そして、新聞は野球もサッカーも相撲も何でも載っているので、あの頃の方が圧倒的に他のスポーツも詳しかった

情報取得が便利になったことは良いことだ。ただ情報への道が速く、明確になったことで、情報を得た時の感動は減り雑音に触れる機会も減ってしまった。
この功罪は、色々な分野で議論されていると思う。
しかし、答えは出ていないだろう。
筆者はこの“答え”が気になる。

○プロ野球選手がアスリートではなくアイドルだった頃~2003年(平成15年)の掲載情報~

選手に関する掲載内容は時代と共に変化している。それは個人情報に対する社会の考え方の変化によるところもあるだろう。
今は当たり前となった、個人情報保護法が成立したのが平成のド真ん中、平成15年(2003年)である。
平成年間で個人情報についての考え方は劇的に変化したのだ。

この法律成立との関係は不明だが、直近で掲載内容に大きな変化があったのは、2004年(平成16年)である。
この年から平成年間後半15年間は、あまり掲載内容の変化は無かったということになる。

その前年の2003年(平成15年)の掲載内容は下記である。
名前・登録名
背番号
出身地
誕生日
年齢
身長・体重
利き腕・打席
①出身校と経歴
②ドラフト年度順位
③公式戦初登板初出場
④FA資格と1軍登録日数(FA宣言選手は宣言後の日数)
⑤今季年俸←昨季年俸
⑥趣味・特技
⑦家族(独身者は理想のタイプ)
⑧血液型
⑨愛車
⑩獲得タイトル年度
⑪目標・プロフィール
前年成績と通算成績

ちなみにこの15年間掲載内容の変化は大きくはなかったと述べたが、実はこの15年間で本の体裁としては2つの大きな変化が起きている。

それは、
2005年(平成17年)/ 白黒→オールカラー
2019年(平成31年)/ 掲載選手数 8名/1ページ → 4名/1ページ
という変化だ。

なので、2003年(平成15年)の選手の掲載内容をイラストで表してみると

画像3

このようになり、これが8名/1ページで掲載されている。

2004年(平成16年)に掲載がなくなった項目は、⑦独身者の理想のタイプ⑧趣味・特技⑨愛車の3つである。
ただこの3つが無くなっただけではあるが2004年(平成16年)からプロ野球選手名鑑が、一気に味気ないものになってしまった。

確かに野球選手としての見方になんら影響は無い、プライベートな項目ではある。ただファンが憧れたり、親近感を持ったり、アイドル的な応援につながる項目ではあったと思う。
この頃からなんだろうか、プロ野球選手がアイドル的なものからアスリートとして見られてきたのは。

とは言ったものの、実は別の選手名鑑では、2020年(令和2年)において、独身者の理想のタイプ、趣味・特技の掲載があるものがある。
もちろん、まだまだアイドル的な応援のされ方もあるだろう。
なぜ日刊スポーツプロ野球選手写真名鑑は、これらの掲載をやめてしまったのか。
少し気になる。

○タバコ、酒、クセ?~1990年(平成2年)の掲載情報~

2003年(平成15年)以前で掲載内容が大きく変化したのは1991年(平成3年)である。
その前年の1990年(平成2年)の掲載内容は下記である。

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