映画 ほつれる 他の人の感想もきいてみたい
確かに、今の生活に彼氏がいたらそれはもう百点満点な生活なんじゃないかって、思うことがたまにある。
でも、その彼氏が必要な理由って今の生活を壊したくないからなんじゃないのかな、と同時に思う。
今の生活がなくなったとき、きっとその彼氏はいらなくなって、それでは余りにも全員に不誠実なのではないのかな。
主人公の綿子に、最後まで誠実さのかけらも見いだせなかったこちらの映画。身勝手さが巧妙に描かれている。
綿子は、結婚していて不倫相手がいる。不倫相手も既婚者で、映画の冒頭で綿子の目の前で事故にあう。誰かが通報するだろうと綿子はその場を立ち去り、後に不倫相手が亡くなった事を知る。
そこから、描かれる綿子の結婚生活が抱えるいくつかの問題。
確かに、前妻との間の子供と勝手に生活圏に入ってくる姑の存在は、自分の居場所がないように感じられていたたまれない。対応してくれない夫への信用も期待も尽きてしまうのもわかる。そうしたときに外に居場所を求めるのもわかる。
少し他にも目を向ければ、自分の感じる不満も些細な事に感じるに違いない。そもそも、誰か一人に全部を求めるのが無理がある。
見ないようにしていたのは、綿子と夫の結婚生活についてなのか。
最後に綿子が夫と話し合う場面があるが、そこで綿子は涙ながらに不倫相手との別れが辛かった事を夫に語る。
>見ないようにしてた、全部。
最後まで綿子は見ようとしないんだな。
綿子の夫がなぜ問い詰めるのか、その前に問い詰めたいのを理性でもって努めて冷静に話していたことも、綿子からのプレゼントにとても喜んでおどけていた事も。多分、やり直そうと思えばやり直せるチャンスはいくらでもあったはず。
そういった事を全部無視して不倫相手が亡くなった事を語る場面はグロテスクに見えた。
夫に対してだけじゃない。
不倫相手に事故が起きた時も通報がされているか確かめないままに立ち去り、そもそも不倫相手の向こう側に配偶者がいることも見ようとしなかった。
綿子は一体何をしたかったんだろうか。
誰に対しても、何に対しても腹をくくれないまま言い訳をする綿子の姿は、見ていてとても苦しかった。
この映画は、夫役の田村健太郎がとても素晴らしく
「うわぁ、モラハラチック」
と思わせながらも、それが綿子を失いたくないがための足掻きなんだろうなと思うとモラハラとばっさり言ってしまうのは忍びない。という感じがすごく上手く、切なくなってきた。
この映画は多分、見る人によって全然感想が違いそうなのでみんなもっと感想書いてくれないかしら。