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地面師たちを読んで。

ニュースでちらほら見かける地面師という言葉をもう少し掘り下げたいと思っていた。なぜなら令和のこの時代にも昔ながらの詐欺で騙される人がいることに、どのような詐欺なのか興味があった。

Youtubeで見かけた裏社会ジャーニーでこの本の作者と対談していて面白そうだったので読んでみた。

一文要約 by Semple

土地さえあれば、そこに「奴ら」は現れる。

地面師とは?

不動産取引を専門とした詐欺。
不動産取引と言っても土地やマンションの取引だけでなく、土地開発や商業地の開発などによってそれぞれやることが大きく変わるため、土地に関わる詐欺師は、大まかに地面師と呼ばれる。

不動産は、動く金額が大きいので、一回の詐欺でガッツリ稼げるっぽい。


どうして騙されるのか?

不動産取引自体が、様々な書類や役所の記録を確認する必要もあり、書類作成は、司法書士に依頼する必要もあるため関わる人間が多い。

正規の手続きでもそれぞれの人間がきちんとした資格を持った人間かを取引に参加する全員が共通認識をしていることは少ない。

ただ事件に巻き込まれるものの中には、違和感を覚えるものもいないわけではない。目の前の欲望に負けて忠告に耳をかさず大金を失うことは地面師に限らず、よくある話かもしれない。


どんな人が地面師となるのか?

コアメンバーは、元々不動産業者として働いていたものがメイン。そうしないと業界の慣習がわからないため、信用されづらい。

書籍内でも計画は、不動産経験のあるものが立案していた。


手に入れたお金はどうするのか?

資金洗浄と呼ばれる行為を行う専門業者に頼むらしい。
ビットコインを通じた資金洗浄がニュースに出たことがあったが、一度暗号資産に換金して、分け前をビットコインでそれぞれに分配するらしい。そうすることで、金の流れを追いづらくすることができる。


書籍を読んで。

不動産取引自体が難しい仕組みなので、そこに詐欺師が関わると、途端に素人からは何が起きているのかわからなくなってしまう。

書籍自体は、脚色も混じっているとは思うが、等身大の人間がどんどん地面師として堕ちていく姿が描かれていて、大変だと感じる。

弱きものは、食われてしまえ

この言葉には、不動産取引を通じて資本主義のダイナミクスが描かれているようにも感じる。

きちんと情報を扱えないもの、お金を管理できないもの、欲望に溺れてしまうものは、騙されてしまう弱きもの、だという著者からのメッセージを感じた。

目の前の欲望に負けて忠告に耳をかさず大金を失う瞬間の描写は疾走感があって面白かった。


準備をしっかりとしていて、詐欺師の中には不動産のデータを収集するもの、書類を偽造するもの、売主に化ける人、不動産屋のフリをするものなど、いわゆる劇場型詐欺のために、多くの役割を持った人間が存在する。

売主に成り済ます人間は、実際の売主と似た人間をオーディションを通じて、選別したりする場合もある。

ただしかしそこまでの熱意があるなら、普通に真っ当な仕事してても稼げるようにも思う。


詐欺に関するエンタメをもっと知りたい人へ。

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White Collar


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