心疾患と股関節脱臼
心疾患を患った方から股関節を脱臼したという連絡が入る
数か月前、旧知のクライアントの女性から突然の連絡がありました。
『右の股関節を脱臼して歩くことができない』と言うのです。
ここ最近は私は、理由があり遠隔による矯正や自己整体の指導を軸にしていていて股関節の施術をお休みしているのですが、この時ばかりは、即座に施術の段取りに入りました。この人が過去に心疾患を患い大変な手術を受けていたからです。(うっ血性心不全、大動脈弁閉鎖不全症を患い、人工弁に置き換える手術)
私が現在行っている股関節の遠隔整体では、臼蓋形成不全や先天性股関節脱臼の方々の股関節の痛みが改善されていて、例え脱臼した場合であっても、この方のように単純系という股関節のタイプであれば遠隔でも矯正が可能ですが、この人の場合、一刻も早い早急な処置をしないと、心疾患やそれに関連する症状が再び現れてくる事を危惧したのです。
心疾患の病状と股関節脱臼との関係
心疾患と股関節脱臼、併発は避けたいと誰しもが思うでしょうが、ここに、直接の因果関係を見る向きはあまりないでしょう。
しかし、骨盤の歪みの根本原因である脚長差(股関節転位)を矯正で縮め、身体を根本から整えると主訴のみではない全身の症状が改善されて行き、それは心臓・循環器系の症状すら例外ではないという事実は磯谷療法では言われていた事でしたが、私の中でも、これまでの施術経験から徐々に信じられるものとなっていました。
何より、この人の手術から現在に至るまでの6年間の間には、術後には過度になっていた脚長差を矯正で縮めて行く毎に、足裏の反射帯全域に感じていた圧痛が徐々に薄れていき、心疾患に関連する全身の症状(足のむくみ、構音障害、頻尿、顔色等)も、改善されていったという経緯を踏んでいたのです。
足裏の反射帯は臓器や器官の状態を反映していて、状態が悪い場合、対応する部位を押すと圧痛を感じるものですが、その働きが良くなると痛みを感じなくなります。股関節矯正で脚長差を縮めていくと、内臓諸器官の働きが改善されていくのでこの圧痛は軽減されていき、左右脚の長さが揃う頃には、どんな人でも圧痛をほとんど感じなくなります。当然、主訴のみではない様々な症状も改善されているのです。
この方も、退院直後はこの足裏の反射帯全域が押すと痛みで飛び上がる程だったのですが、ここ2,3年は何処を押しても圧痛を感じない所まで来ていました。(正確に言えば膀胱、子宮は例外、これは大抵の人が同様)
つまり、この足裏の圧痛やあらゆる内臓諸器官の不調を生んでいるのが脚長差(股関節転位=角度の異常)で、この角度異常が過度になった先の状態が股関節脱臼であるのですから、
ここへ来てようやく脚長差が揃って来て、活力を取り戻し安定的となったこの人の健康面が、最も脅かされる最悪の事態が起きてきてしまったわけです。
改善されていた脚長差(左右バランス)と心疾患の症状
安定的と言ったのは、ここ1,2年は循環器内科で毎年撮るMRIや毎月の血液検査の結果は元より良好で、術後には度々指摘されていた肝臓の数値に関しても言われなくなってから久しく、
又、別の内科で受けてみた人間ドック〔SKY-10ES〕、こちらは波動を用いて全身の状態を検査するというものになるそうですが、心臓やそれに関連する器官に問題が見当たらず、手術やそれまでの詳細を知る医師に、心臓の状態の結果が表された3D画像を前にして『すごくきれいな心臓ですよ!』と驚嘆されたというのが2年以上前になります。
又、この人は疾患よりずっと以前から夏に弱く毎年夏バテをするのに、去年の夏は猛暑にも関わらず全くバテなかった、それどころかエネルギーが沸いて、術後から鬱っぽかった性格が以前の陽性な気質に戻りかけていました。
毎年酷かった花粉症も軽くなっていて、顔色も術後の蒼白な状態から、心疾患の人特有の赤黒い、灰色、紫に黒ずんだ、目の周りが黄色など皮膚の膨張と共に様々な顔色の変遷(好転反応により一時的に悪化、その後着実に改善されていく)をして、ここ1,2年は血色も良くなり、暗赤色、紫だった唇や舌の色もまともになり私も安心していたので、矯正はご本人の自己矯正に任せていたのです。
心身のストレスが脚長差を増長→股関節脱臼
ところがその一方で、私生活では何か月にもわたる心労がピークになっていて、その関係で、去年夏終わりごろには心身に過度にストレスのかかるスケジュールが続いてしまったらしいのです。疲労からなかなか抜け出せない状態の中で不眠傾向が続いて、以前(術後から2年位まで)のように鬱っぽくなっていき、そうこうしている内、出先で道路の段差に躓き異常な着地をした瞬間に、股関節を脱臼してしまったと言う事なのです。
こうなるまでには、脚長差が相当に増幅して左脚がかなり長くなっていたことは間違いありません。忙しさの中でスケジュールをこなすのに精いっぱいで自己整体どころではなく、つい元の癖で動いてしまい心身にかかるストレスで脚長差が予想外に増長してしまっていたのでしょう。疲労状態から抜け出せないのはこれが原因だったのです。
脱臼後の股関節の状態
この方の股関節は元々脚長差が増幅しやすいタイプで、左股関節が外旋、右股関節が内旋して左脚より短く(仮性短縮)なっており、今回、右股関節が脱臼〔後方脱臼〕した為、脚長差が更に増幅して左脚がよけいに長くなり、座った時左右膝の位置が甚だしく違っています。
心疾患に関連する病状の再発
又、せっかく血色が良くなっていた顔色が以前によく見られたような蒼白になり、唇が紫に黒ずみ、皮膚が分厚いというか、術後1~2年間によくあった心疾患の方特有の皮膚の状態に戻っていました。とても健康な普通の人の顔色ではないと誰が見ても分かる感じで体を起こしていることもきつい為、仕事を休んで予定も全てキャンセルし、自宅で大部分横たわっている事を余儀なくされている状態です。
足裏の反射帯を調べると、左右共に腎臓、副腎、心臓、脾臓、肝臓、胆のう、膀胱、子宮と飛び上がるほどの反応を示しました。先にも書いた通りこれらの箇所はだいぶ前から、(膀胱・子宮を除いて)押しても痛みを感じないという状態になっていたのですが、脱臼以後は見事に圧痛が完全復活してしまいました。
又、肉体にエネルギーを供給している七つのチャクラの状態を調べると、第7チャクラ以外の1~6のチャクラが逆回転や垂直移動で内臓諸器官にエネルギーが正常に供給されておらず、このように、股関節脱臼直後は、股関節だけでなく全身が以前の病域へと再び投げ込まれたかのようで、本人も事の重大さに内心震えているようでした。
2日前、股関節を脱臼して脚長差が増幅した事により、これら一連の症状が再発したのです。
脱臼の整復
しかし初回施術で、脱臼の状態はある程度整復され、体重を右脚にかけることができるようになり、数回の矯正で支えは必要ですが一応は歩くことができるようになりました。
矯正スクワットで脱臼の改善ができた!
本人はこのような事態になり怖くて何もできなかったのですが、左脚のみの矯正スクワットを以前のように行う事で、脱臼後の股関節の状態すらも改善されることを確認してもらいました。この人は、この矯正スクワットをこれまで何度もやってその効果を分かっているのですが、今回、脱臼した股関節にも効いたので心底驚いたようです。
三回続けてやった後歩いてもらったのですが、股関節の状態が確実に違っているのが自分でも分かったんですね。
それで顔色が変わり、矯正スクワットでの自己矯正を再開する事にしました。
左右の股関節は骨盤で連動した動きをするので、左股関節を矯正スクワットで内旋すると右股関節は外旋し、脱臼側の腫れあがった膝に負担をかけることなく右股関節が自然と整復されていくのです。この方のような単純系という股関節のタイプの場合、矯正スクワットを用いた矯正は特にスムーズです。
実際、その後はこの左脚の矯正スクワットを一日3~5セット行っていたようですが、右股関節の状態が改善されて行き、日に日に歩きやすくなっているという言う事でした。
『調子はどうですか?』
『まあ、少しずつ・・・』
『・・・では、二週間前と比べると?』
『それは! 全然違いますよ♬ 』
『 ・・・』
といった感じで、その後は、左脚矯正スクワットだけの自己矯正で順調であります。
脱臼後、数回の矯正をしてからここまで2週間が経っていますが、脚長差はまだまだ大変開いたままですし、背中に脱臼以前には見られなかった過度の側弯が出ています。
そして、やはりここに来て、恐れていた事態が明らかになりました。
心疾患に関連する状態の再発が種々の検査で明らかとなる
そして今回も、前述した検査と似たような検査を受けたそうなのですが、こちらも未病の段階の不調として心血管、不整脈と、腎臓、胆のうの問題が出てきていることを指摘されてしまったそうです。
更に、手術後は毎月通っている心臓内科での検査でも久しぶりに肝臓の数値が上がっている事と、これまで言われた事がなかったのですが、コレステロールの数値が高いと言う事を言われました。
そこで、矯正をどんどん進めようと来所され、足裏を再び確認した所、ここ二年近くでていなかった足裏のむくみが出ています。退院してからもずっとそうでしたが、右足が左足よりもむくんでいます。医師によると、どちらかの足がよりむくむなどと言う事はあり得ないと言う事なのですが、今回も、どう見ても右足が左足よりむくんでいます。左足が長い場合は右の股関節が左右相対的に内旋する為、右股動脈がより圧迫されて右半身の血流が悪くなる事が原因と考えられます。
施術を行い脚長差を縮め、足裏の反射帯を確認したところ、左右足裏に感じていた圧痛はどちらもやわらぎ、むくみの状態も心なしか改善されていました。
チャクラも整いました。チャクラは通常は脚長差を揃えるだけで整っていくのですが、脚長差がまだまだ甚だしい為、ヒーリングによる手当てもしました。
又、この矯正後は、歩行の状態・側弯も大きく改善されて、支えなく普通に見えるように歩く事ができるようになりました。
しかし、それでもまだ脚長差は大きく、脱臼以前には見られなかった骨格の歪みが未だ顕著です。
脱臼後、二か月が過ぎた
季節は少し巡り、
脱臼後、二か月が過ぎていますがその人は普通に歩いて仕事でも何処でも行っています。しかし顔色はまだまだ悪く、好転反応の影響もあり精神的には低迷している感じですね。というより、殆ど鬱のように見受けられます。
この人はようやく、自身の抱えている心疾患とそれに繋がる肝臓や腎臓などの身体の状態が、股関節転位との相関関係で良くもなり悪くもなるというこの現実を今更ながらに感じ取り、大きな衝撃を受けているんですね。
それで、施術による矯正で十分に良くなっていたとはいうものの、自分自身ではあまり真剣に自己整体に取組んで来なかったこの年月を悔いているのです。
クライアントの方は、このように抱えていた問題が股関節矯正でよくなっても、それがどの程度まで、股関節矯正の力によるものなのか確信が持てない事も多いのです。
術後どれ程衰弱して、退院時、医学的結論は常にそうであるように医師に悲観的な事を言われ、股関節矯正でその真逆の経過を辿って来ているという事実があっても、その自然治癒力は殆ど股関節矯正によって引き出されたのだとはっきりと悟る為には、このような天からの荒療治が必要だったのでしょう。
この人とは私は旧知の仲で長いのですが、このように神妙な空気はこれまで感じた事がないですね。毎日、矯正スクワットを自身で行っているので好転反応の連続なのです。
しばらく休むべきなのですが、今度は言っても止めませんし、しかし私も、できるだけ病域から遠く離れ去ってほしいのです。
正しい方向へ矯正している限り、恐れるようなことは実は何もないのです。行けるところまで行って倒れるようにゆっくりと休むのも良いでしょう。長く暗い好転反応のトンネルを通り抜けたら、眩いばかりの晴天を心行く迄仰ぐことでしょうから。
股関節6タイプ簡易診断
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?