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毎日読書#228 『感染症の世界史』(石弘之)

感染症とは何か?

微生物が人や動物などの宿主に寄生し、そこで増殖することを「感染」といい、その結果、宿主に起こる病気を「感染症」という。(P3)

ちなみに「宿主」の読み方、口語だと「やどぬし」でだけど、専門界隈では学術用語として「しゅくしゅ」と読むんですって。

微生物とは、ウィルスや細菌、真菌や原虫などを指しているのだけど、この辺りの知識が中途半端な私は、ウィルスって生物なの? と思ったが、アレコレとネットで調べてみると、これは「微生物」のくくりに入るようだ。

本書は、微生物が引き起こしてきた感染症とその病との闘いをまとめたものだ。

感染症と聞いてうかぶのは、例えば教科書等で良く知る天然痘にペストやコレラ、それにスペイン風邪(インフルエンザ)、結核などか。

それら感染症が引き起こしたパンデミックは、多くの人の命を奪ってきた。国によっては、国民の半分といったレベルで命を奪っている。

そして、それらの感染症に人類は勝利をしてきたのだ、というところまでが教科書に書かれている内容だ。確かに、にこういった感染症は根絶されたり、大きく数を減らすなどしている。

しかし、昨今のコロナウィルスしかり、別の感染症が猛威を振るうようになってきた。これは人間の生活様式の変化が原因だ。性行動の変化はHIVを広げたし、居住する土地を広げ野生生物の生息域に近づいたことでエボラが大流行した。インフルエンザは明らかに行き過ぎた食肉の生産が原因のようだし。

SARSは野生動物から人間に感染したのが始まりだったようだけど、近年の発達した交通網のおかげで爆発的に広まった。新たに発生した新型コロナウイルスも、人の自由な移動にあわせ、驚異的なスピードで広範囲に感染を広げる事になった。

人間が生活範囲を広げたり、生活の規模を広げる度に、人を襲ってきた感染症。本書を読んでいると、人が人であるかぎり、感染症は生まれ続け、人の生活を脅かしてくるのだろうなという気がしてくる。

本書は、人類に襲い掛かった感染症についてまとめたものだ。世界史と銘打つだけあって、網羅性は高いし、よく整理されている。

だけど、個々の感染症について、もう少し突っ込んで知りたいな、というところまでは踏み込まれていないので、ちょっと物足りなさがあるのだけど、巻末に、各章の内容について参考文献が記載されているので、ここから何冊かピックアップして読んでみようと思った。

そう思う位なので「世界史」と銘打つ本としては役割を十分に果たしているよ。こういっちゃなんだけど、面白いです。


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