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毎日読書#197 『11歳からの正しく怖がるインターネット』(小木曽健)

うちの子ども達は、まだ上が小1なので、インターネットやSNSなんてものを、まったく認識していない。

妻は、LINEでママ友と情報交換をし、学校から配られたプリントの曖昧な箇所の謎解きをしていたり、夫にミカンと牛乳とキャベツが含まれる買い物リストを送り夫の肩を破壊したりしている。

だが、子ども達は「毎日スマホみて何してんの?」位にしか思っていないだろう。もしかしたら、そんなことも思っていないかもしれない。

父親が毎日本を読みまくっていることには気がついているが、まさか自分たちが寝た後、毎日、必死の形相でnoteに読書感想文を書いているなんて、もちろん一切知らない。(これ、23時すぎからの45分が勝負なんです。必死です。だから、酒が入ると支離滅裂なんです。ごめんなさい。そういうときは後でこっそり直しています。)

いまは、SNSやインターネットが何かなんて知らない我が家の子ども達。

学校でも教えてくれないし、友達との話題にも上がらない。でも、いずれ知り、使いたくなる日は近い。使わなければならない日も近い。

それに、最近になって、スマホは便利な板なのかもしれないと気が付いたようで、しきりに触りたがっていたりもする。

しかし、どうやって子供達にスマホを与えたら良いのか、どうやって利用をはじめたらよいのか、どうやったら安心して使ってもらう事ができるのか。あれこれ考えても、これがベストだな、という答えは出ていなかった。

そんなぼんやりした悩みを抱えているときに本屋をうろつくと、普段なら絶対に目につかない本がコンニチハをしてくる。

出会いは昌文社60周年記念の棚。そこに本書が平積みされていた。

『11歳からの正しく怖がるインターネット』は、グリーに勤める小木曽健氏がCSRの一環として行っているネットの安全利用を啓蒙する公演を、1冊の本にまとめたものだ。

なんと、公演は年に300回以上行っているそうで、全国津々浦々の学校や会社、地域のホールなどで話をしている。

そこで語られる事が、この本にも書かれているのだけど、畢竟するに、インターネットやSNS等のツールを正しく知り、正しく怖がろう、ということにつきる。所詮インターネットも、そのうえで成り立つSNSも道具でしかないからだ。

ただ、人類史上、火と文字に続く位の最強レベルの道具なので、その影響範囲はあまりにも広く、なにかトラブルがあれば、その拡散スピードも、火が付けばあっというま、という特徴がある。

やっぱり怖いじゃないかと、デジタルから遠い方々は思うのかもしれない、だが、その危険を知り、上手に使えば、最高の道具となる。

車だってものすごく危険な道具だけど、道路交通法を守り、安全配慮の意識を持ち続ければ、とても便利に使う事が出来る。包丁だって、金属バットだって、正しく使えば危険は非常に少ない。

本書では、インターネットを最高に便利な道具として活用するため、リスクを正しく知り、対処をする為の知識を教えてくれる。

そのために、実際に起こった有名な事件(コンビニのアイスケースで横になったり、バーバー屋でパンの上に寝転がったり、蕎麦屋で食洗器に入ったり)をベースに、なぜそのような事が発生したのか、なぜ炎上したのか、そして炎上後の悲惨な末路までを詳しく説明する。

そして、炎上の一番怖い事として、一度炎上の当事者として名前が出てしまうと、いたるところにログやコピーが残されてしまい、何年もそのことで苦しめられるという事実を上げている。

進学のときに名前で検索され、過去の炎上案件が出てきて推薦取り消し、就職では内定取り消し。結婚をしたくても相手の家に調べられ破断。そんなことが実際に起きている。推薦取り消しなんてのは、小木曽氏の観測範囲では、ほぼすべての都道府県で発生している。

今日の徳力さんのnoteでは、就職活動のときにSNSを全て消して、過去のやんちゃを無かったことにする、というエピソードが紹介されていたけど。

これは、(たまたま)炎上していないから成り立つ話で、もし、炎上してしまったらもう隠すことはできなくなる。アクセス数狙いのメディアやまとめブログにコピーされ、拡散された情報は、おそらく一生残されてしまう。

では、いったいどうしたらよいのか? 道具としてどのように使えば、リスクを最小化することができるのか。

本書の1章では「ネットで絶対に失敗しない方法」が紹介されている。ネタバレするのもあれなので、気になる方は読んで頂きたいのだけど、これもまた、正しくインターネットを知っていればわかることだし、散々言われていることでもある。だが、様々な事例や知見を畳みかけた上でのこの言説、非常に説得力がある。

お子様が居る方でなくても、社会にかかわる人ならすべからく知っておいた方が良い事が1章から3章には書かれている。気になるかた、目を通してみて。4章は、さすがに古くなっている。動きの速い世界でもあるので、全体的に、版を上げても良いのかもしれない。この本には、その価値がある。

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