早いこともない、遅いこともない
もう何年も前からなのだけど、近所で尺八の練習を始めた方が居る。
練習に決まった時間はなく、週に何度か、ぶひゅー、ぶひゅーと音が聞こえてくる。
練習し初めの頃は、音を出すだけで精一杯という感じだったので、妻と、尺八は難しそうだよね、がんばってほしいね、なんて話をしていた。
しばらくすると尺八の音色は日常になり、やがて生活音の一つとなり、尺八の音を聞いても、何も意識にのぼらなくなったある日のこと。
用事を済ませ、帰宅する途中、近所の教会の前を歩いていたら、明かりがついていた。
夜に明かりがついてるのは珍しいな、なんて思ってみてみたら、テラスっぽい場所で、神父が椅子に座り、譜面台をにらみながらフルートを吹いていた。
ぶひゅー♪ ぶひゅー♪
あああ、この音は!
ずっと尺八だと思っていた音色は、実はフルートだったのか!
曲はユーミンの「やさしさに包まれたなら」でした。
尺八といえば、私の「酔った時に披露するちょっといい話し」に、ニュースに出た尺八名人の話があります。
ある日テレビでニュース番組をみていたら、日比谷公会堂が改装のために休止する、というニュースをやっていて。現公会堂最後の公演となる尺八の演奏会を紹介していた。
そこに出演した御年80歳の名人がインタビューされていたのだけど、その方の名前の下に「尺八歴40年」とあった。
80歳で40年だから、なんと40歳からはじめている!
40歳からはじめても、毎日コツコツやれば名人として舞台に立ち、後輩を指導し、日本の文化を継承する枝の1本になれる。
いい話だよね。
何を始めるにも早いもない、遅いもない。やると決めたその時が、一番若く、残りの時間が最も多い時。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。